絵の上手さ、文の上手さ


大澤:「せんせいのお人形」はスマホ向けなので、縦スクロール前提じゃないですか? あれって仮に単行本にするってなった場合には、どのような処理になるんでしょう? ほぼ描き直し?


藤の:他の単行本作品について聞くところによると、編集プロダクションさんが画像を見開きに編集してくれるそうです。ご自分で編集されたり、まず見開きで描いたのを縦読みに編集してる、という作家さんもおられるようですが。仮に「せんせいのお人形」が単行本化したら、そりゃもう序盤は全部描き直したい。絵がとにかくひどいので。描き直したいけれど、現実的には無理でしょうね……。


大澤:でも絵はね、そんなに気にならないかな。失礼に聞こえてしまったらアレなんですけれども、絵の上手さ下手さとかが全然気にならないタイプのお話ですよね。没入しちゃうので。絵で魅せていく~ってタイプの超絶美麗ではないと、わたしも思いますけれども、気にはならないのでそんなものなんじゃないでしょうか? 小説も、わりと文章じたいの上手さってそんなもんですよね。フーン、文上手いね? みたいな。文の上手さなんて、所詮は文の上手さでしかない。下手でも気持ちが乗っていると、そんなに気にならない。漫画における絵の上手さっていうのも、そういうものなんじゃないかなって。


藤の:絵で魅せていくタイプじゃないってもうこれ各方面から100万回言われるんですけど、ショックなんだよな~~~!!!! そりゃ絵で魅せたいよ~~~~~~!!!! 精進します……。まあでも、自分はもう読み返せない! って思ってても、今でも頻繁に読み返してくださる方もいらっしゃるし、連載開始はあの絵だったんだから、という割り切り方もある……。


大澤:あはは。わたしも、文の切れ味だけで人の心を斬りつけたりはしてみたいけれども、たぶんあと何十年かはかかるでしょう。そんな明日からできるライフハックみたいに手に入るものではないので、やっていきましょう。


藤の:自分ののびしろに期待しています。やっていこう。


大澤:わたしもわたしも。明日の自分を信じてますみたいな。明日の自分を信じて今日は寝るぞ、みたいな。


藤の:え、でもじっさい上手くなってきてるじゃん! つぎに描くコマがどんどん上手くなる予感しかしない……って、自分で言って、自分で褒めてます。


大澤:素晴らしい。創作、わりとそういう楽観視がないとやっていけないというか、自分を上手に褒めて甘やかしてあげないと続かないですよね。もちろん、甘やかしているだけじゃダメなんですけど。わたしも自分の小説を読んで「おもしれえな~」って思ってる。次は絶対にもっとおもしろいぞ! って。


藤の:うんうん。心底自分で「面白い」と思う時には「最高~~面白い~~」ってどんどん褒めた方が良いですね。自分で自信がないときは本当に面白くないか、ウケる範囲がかなり狭くなる。

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