第5話 詳細確認ソレダイジー
「よっと」
「ふう……うっ」
「おかえり……って
いきなりふらっと倒れそうになった俺を
「うん……大丈夫さぁ」
「大丈夫には見えないよ……変身したままだし」
「ああ、そうだった。よっ……と」
俺は変身を解除すると、倒れてしまう。
あれ……どうしたんだか。
「うわっ、全身に火傷してる! きゅっ、救急車!?」
「痛ってぇぇぇ……!」
変身解除したら急に痛みが強くなってきやがったな!
「いや……恐らくは、このままでも2日程経てば治るだろう」
えっそんなに早く治るのか?
『はい。
本当に凄いんだな、鎧装機甲ってのは。痛い時はしっかり痛いけど。
『それは、まだ鎧装機甲を使い始めて日が浅いのと、マスターの体が貧弱だからです。もっと鍛えてくーださい』
本当にこの人工知能は優しくないな……!
「全身に火傷してはいるが、まだ軽度だ。それに、鎧装機甲には自己修復機能が搭載されているようだからな。信護君の体もすぐに治るはずだ」
「鎧装機甲って凄いんだね。こんな火傷でもすぐ治しちゃうなんて」
白輝も俺と同じような感想を言っている。
「でも……ちょっと怖いね。人じゃなくなってくみたい……。鬼面ファイターの
「えっ、いやそれはちょっと違うでしょ」
……でも確かに、そうなんだろうな。鬼面ファイターに似てると思って少し嬉しかったけど、人から遠ざかってしまう所も似ている。俺はこれからどうなるんだ?
「あっ……ご、ごめんね。つい思い出しちゃって。そんなこと言われたら、嫌だよね」
「い、いやいや大丈夫だよ。平気」
「手当ての準備は整ってるから、とりあえず応急処置はしておくぞ。こっちへ」
博士がちゃんと準備してくれたようで良かった。このままじゃ寝れやしない。
「あっ、ボクも手伝うよ! 支える!」
「ありが――痛っだ!!」
メルカが触った箇所は特に痛く、飛び上がっちゃいそうだった。
「わわ、ごめんよ!」
「はは……ありがとうね。それともうちょっと優しく……」
なんてことをしていると、ずっと黙ってた転夜さんがこちらを
何なんだあの人は……。
博士とメルカに支えられながら、手当てできる所まで移動した。
◆
「さて、今度こそ話を始めるぞ」
「はい!」
神風博士と白輝、転夜さんとメルカと全身包帯の俺。皆が揃っている。いよいよ、鎧装機甲やその他諸々の話をするからだ。
場所は、相変わらず秘密基地みたいなメカとか大きいモニターが設置されていたりする広めの部屋だ。落ち着かないっちゃあ落ち着かない。
「はぁ、めんどくせぇな……」
「そう言うな、これからは信護君も行動を共にすることが多くなるだろう。話はちゃんとしておいた方が良い」
「ったく、分かったよ」
転夜さんは相変わらずのようだ。なんでずっとあんな調子なんだか。
「信護さん、誤解されやすいけど転さんはそんなに悪い人じゃないよ」
「えっ、うん。大丈夫だよ、別に悪い人とは思ってないから」
メルカが訂正している。転さんって呼んでるんだな。
「メルカ、余計なこと言うな」
おっ、ちょっと転夜さんが笑ったような。
「私、凄い居づらい……」
「はいさっさと始めるぞ!」
白輝が気まずそうにしていると、博士が強引に始めた。
「まずは自己紹介だ。僕以外は互いのことをよく知らないままだからな。まずは転夜達からだ」
「……
黒い髪がツンツンしてるな。よく見ると、優しそうな顔をしている……かもしれない。鍛えているようで、がっしりとしている。
「メルカ・ニーカだよ! エレメントは
よく見なくてもメルカは可愛い。長い緑の髪に薄い黄色の瞳。華奢な体で特に突き出た部分は無く、一般的な幼い女の子だ――犯罪臭がしてきたからもう考えるのはやめよう。
『マスターってロリコ』
シルバライトは黙ってような? 違うから。
「メルカのメカニックは自称だな。実際は僕の手伝いだよ」
なんだ、自称だったのか……ちょっとおかしいとは思ったけど。
「色々造ってるんだからメカニックで良いでしょ、博士!」
「ははっ。とはいえ、メルカはなかなか頭が良くてね。僕ほどではないが、ちょっとした発明とかもしているんだ。説明はまた後にするが」
「そうなんだ、メルカちゃん凄いんだね!」
「えへへ、ありがとう! 白輝さん!」
「さんじゃなくて、ちゃんでも呼び捨てでも何でもいいからね」
「じゃあ、すーちゃん!」
「ふふ、うん!」
俺が居ない間に仲良くなっていたのか、楽しそうだ。
「俺も、呼び名は何でも良いからな?」
「えっと、まだ信護さんでいいかな」
「あら。何かあだ名つけてくれるのかと思ったよ」
「何でも良いんでしょ?」
「ま、まあそうだな」
「また後で気が向いたらつけるよ!」
「うん、よろしく」
「なあ、さっさと進めようぜ!」
話を切るように言う。また転夜さんは機嫌が良くないようだ。何でか段々分かってきたぞ……!
「そうだな。じゃあ今度は白輝と信護君の番だ」
そう言われて白輝が自己紹介する。
「
白輝らしい真面目かつ普通な自己紹介だ。よし、俺も!
「
転夜さんとメルカが驚いたような顔をしている。まさか、一人だけエレメントが無いからって落胆してるのか……?
「信護さん、エレメント無かったの!? 神風博士が紹介した人だから、あるのかと思ってた!」
「何ふざけてんだ! あるだろ! くだらねぇ冗談は好きじゃねぇんだ俺は!」
「えっえっ!? 何!? 何!?」
生まれてこの方エレメントなんて使ったことないよ!
「三人共落ち着け。信護君、先に伝えておくが、君にはエレメントがある。何らかの原因によって使えなくなっているという状態だ」
何だって? 俺がエレメントを使えるのに使えなくなってるって……ええ?
「俺はエレメントが無いと思って生きてきたのか……」
「まあエレメントを持っている人がそもそも珍しいから仕方ないさ」
「ふん、エレメントが無いヤツが
「その辺の所を含めて説明するために、まずは鎧装機甲からだ」
鎧装機甲……俺の体に融合している物。
『そして、この私が宿る物』
うお、急に話すなって! 危うく変な反応をする所だったぞ!
『いいじゃないですか、私のことを説明すれば』
ああ、まあそのタイミングが来たらな。
「信護君は三年前の事を覚えているかな?」
「はい……覚えているというか、思い出しましたよ」
あまり良い思い出とは言えないけどな。
「あの日、信護君は傷だらけでとても助かる状態じゃなかったんだ」
「じゃあ、何で俺は生きてるんですか――そうか、そこで」
「そう、僕が信護君の体に鎧装機甲を埋め込んだ。そうしなければ、助からなかった……」
「でも、何で助かったんですか? 鎧装機甲を埋め込んだだけで」
「信護君にはエレメントがある――つまりはSECT《セクト》なわけだが、エレメントを使うにはポテンシャルプルーフというエネルギーが必要だ。エレメントを使う時光るだろう? アレだよ。」
「ポテンシャルプルーフ」
専門用語増えそうだな……。
「そのエネルギーはSECT自身の体が生み出しているんだ。信護君はその量がかなり多い。使うエレメントがそれだけ強大なものなんだろうけど、それはひとまず置いておく」
「はい」
俺って凄いかもしれないのか?
『
少し位期待してもいいだろうよ!
「それで、エレメントのお陰で鎧装機甲に適合して、自己修復能力によって一命を取り留めたというわけだ。上手くいって本当に良かったよ」
「そう思うと、有難いです。この命は神風博士によって救われたんですね」
「今更感謝はしなくて良いぞ。本来なら信護君に使うつもりも無かったし、鎧装機甲を埋め込んだ後も普通に生きて欲しかったと後悔もした」
「でも、俺は感謝しますよ」
命を助けられて感謝しない人はいない。今思えばあの人と博士の二人に助けられたことになるんだな……。
「……ああ、ありがとう」
「ねぇ、信護さんは何色なの?」
「色? 何が?」
肌なら、肌色だけど……。
「さっき言ってたポテンシャルプルーフの色だよ。ボクはピンクだよ!」
「そうは言っても……あっアレか! ええと、青白かったよ。水色とはちょっと違う気がする」
「ふーん。綺麗そうだね! 後で見せて!」
「もっちろんだよ!」
「ちなみに転さんは紫だよね!」
「ああ。つーか賭頼は一緒にいたから知ってるよな」
「はい。で、白輝は」
「緑だよ。他の人のを見たことなかったから、皆緑色だと思ってたよ」
なるほど、色んな色があるな。ディメンジャー(特撮番組)みたいだ……!
「あと他に知りたいことはあるかい?」
「強いて言うなら、『ここ』のことですかね」
俺が今いるこの場所。壁やテーブルなどが金属であることを隠そうともせず自己主張している、如何にもSFな雰囲気の空間。金属じゃない家具も置いてあるが、この空間では違和感に感じてしまう。他に何部屋もありそうで、相当広いのだろう。
家の地下にこれは凄過ぎるだろ。
「それは私も気になるから教えて、お父さん」
「よし、まあ話せば長くなるから簡単に説明するぞ」
さてさて、どんな話が出てくるやら……。
「ここは、
――は?
鎧装機甲セクトマン @Kikai_Kotaro
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