8. 金欠女子高生の密かな夢

 今回は、ちょっと個人的なお話を書かせていただきます。


 それは、「もしお金持ちだったら◯◯したい!」系のことです。多分、誰もが一度は……いや何度も夢想したことのある内容。


 高級外国車を買う? 一軒家を買う? 世界一周飛行? グルメ巡り?


 まあ、例を挙げだしたらキリがないと思います。お金ってすごい!


 しかし。

 金欠で女子高生をやってる私の場合、ちょっと世間とズレるようなことを思い浮かべたりしちゃうのです!


 場面は、100円均一ショップ(以下、『百均』)。セレブで、美人で、キラキラしてて、可愛くて、でも格好良さもあって、愛嬌もあって、スタイルも良くって、優しそうで、頭も良さそうで、スポーツマンで……(以下略)、という女性がスーツケース片手にお店にやってきました。もちろん、この女性は未来の私です(あくまで妄想の域)。


 それでは、レジの店員さん目線でこの物語を見て行きましょう(大事なことだからもう一度言いますが、、私個人の妄想の世界ですよ)。



 ✳︎


 とにかく、こんな庶民的なお店には不似合いな女性がやってきた。

「いらっしゃいませー、お預かりいたしまーす」

 とりあえず、仕事はいつも通りこなすことにする。とは言っても、いつも通りなのは身体だけで、脳内は彼女のことでいっぱいだ。

 まず、買ってきたものが「シャボン玉」だった。彼女のような、銀座とかを歩いてそうなキラキラした人が、だ。そんな人が、を、あろうことかで買っているのだ。明らかにミスマッチな図。

「108円になりまーす」

 しかも、その1つだけ。ふと、『誰かに頼まれたのかも』と思いもしたが、彼女の表情はそんな素振りではない。少女のように目を輝かせ、嬉しそうに笑っているのだ。私はこの仕事をして、まだ半年ほどしか経っていないが、それでも客の反応を見て大体の心理はわかるようになった。

 そして、その経験によると、これは明らかに本人が喜んでいる表情なのだ。

「えっと……一万円、お預かりいたしまーす」

 おっと……普段使わないような単位が出てきてつい言葉が詰まってしまった。福沢諭吉さんがこっちを見つめている。こっち見ないでよ。あ、でもお札の肖像画ってどこから見ても目が合わないようになっているんだっけ?

「9,992円のお返しでっ……」


 カツン。

 何かを叩く音に、私の声は遮られた。


「ここ、入れといてもらえますか?」

 見ると、彼女は募金箱を長い綺麗な爪で叩きながら私の手元を見つめていた。

 えっと、これはつまり……?


「ありがとうございました」


 と言ったのは彼女の方。私が呆然としている合間に、彼女はお礼の言葉を残して颯爽と去っていった。


「……かっこよすぎだろ」



 ✳︎


 はい。

 ということで、ここで出てきた女性のお客様が私の理想です。

 これ他の人に言うと、「見せつけてるみたいで嫌だ」「はいそこ、アピールいらないからー」「エゴっていうんだよ、そーゆーの」みたいな感じで、あまり肯定の声を聞けないんですよね。まあ、確かにそうかもしれませんが、私がもしこの店員さんだったら、同じように「かっこよすぎだろ」って思いますよ、絶対!!



 人生はお金より大切なものがあるらしいですけど、やっぱり生きていく上で必要なのはお金ですよね。


 そんなことも踏まえて、皆さんはお金があったら何をしたいですか?






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