第24話:日本の技術はすごいけど…

 年に数回、『日本の技術って素晴らしいでしょう!』とか、『海外で日本の文化が間違って広まってるから教えてあげよう!!』みたいなテレビ番組放送してますよね。

 職人さんの技術はやはり素晴らしいクオリティで、『凄いなぁ』と関心します。


 …ですが、番組の構成や方向性はあまり好きではありません。

 例えば、アメリカ合衆国で《寿司》を提供しているお店があったとします。

 そのお店で提供されている《寿司》は、日本でよく見掛ける《寿司》とは違っていました。

 番組では、

「これを《日本の寿司》として提供しているんでしょうか?」

「こんなのパチモンだろ」

 みたいな発言が飛び交います。(多少盛ってます)

 そして、日本の江戸前寿司職人の方が渡米し、実際に握って魅せ違いを知らしめる。

 そして、

「やっぱり日本の文化や技術って素晴らしいですね」

 …というパターンの構成を何度か見た事があります。


 …確かに、職人さんの技術は素晴らしいです。

 ですが、何故比べる対象は毎回江戸前寿司職人さんなのでしょうか。

 海外の方が模範にした《寿司》が、江戸前寿司とは限らないでしょう?

 漠然と《寿司》を提供していただけだと思うんです。

 そりゃ、《日本の寿司》として提供していた事には、文句を言いたい気持ちはわかります。

 ただ、各国それぞれの食に対する宗教問題や、流通問題もあるじゃないですか。

 それぞれの国で手に入る材料で、それぞれの文化に併せて発展していった結果なら、私はそれでもいいんじゃないかなって思います。

 日本にだって、探せば他国の食文化を日本の文化に寄せて発展させた料理がある筈です。

 《カレー》なんかが代表例ですかね。

 日本で《カレー》といえば小麦粉のカレーで、スパイス等から作っているカレーは《インドカレー》ですもんね。

 けれど、きっとメディアでは『流石日本の技術』なんて正当化されてしまうのかな。

 飲食系の日本と比べる企画で、相手の国が内陸で新鮮な魚がなかなか手に入らない状況もよく見かけます。

 そんな時は、相手の国の流通に合わせて現地で手に入る魚介類だけで勝負する職人さんと、人脈を利用してなんとか日本産の魚介類を入手して勝負する職人さんに分かれると思います。

 別に、その行為が悪いとは思いません。

 ただ、スタジオの芸能人達が『日本で勝負できてたら、絶対に圧勝だったのに』みたいな発言をしているのを見ると、とても不快な気持ちになってしまいます。

 例えば、アボカド等の野菜系の寿司が多かったりするのも、鮮魚の入手や値段が関係しているのかもしれないし。

 単純に、その国では人気のあるネタなのかもしれません。


 日本も、ちゃんと《日本風カレー》とか言い始めれば、他の国も《アメリカ風寿司》みたいな表記を使い始めてくれるかもしれないですね。

 文句を言う前に、まずは自分たちから。

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