第17話:〇〇してみた

 昨今、沢山の『○○してみた』がネット社会には存在しています。


 【〇〇してみた】とは、既存の作品を自分流にアレンジしたり、模写した作品を投稿する事だと、私は認識しています。


 いつだったか、とある情報番組に出演されていた芸能人の方が、『今人気の【踊ってみた】』みたいな題材の時に、

「ただ、マネしてコピーしてるだけじゃないか。違いもよくわからないし、何が良いんだか…」

 …みたいな発言をしていました。

 私は、『きっとこの題材が【歌ってみた】なら、きっとコメントの内容も変わっていたのかもしれない』と思いました。

【踊ってみた】の場合、あまりアレンジや《違い》を感じ取りにくいからです。


【〇〇してみた】の文化は、ボーカロイドの発展に寄り添う形で成長してきたと感じています。

【踊ってみた】や【歌ってみた】の殆どが、ボーカロイドの楽曲だからです。

 あまりこの文化に触れてこなかった方からすれば、【踊ってみた】はただ曲を流して踊っているだけなのでしょう。

 しかし、一言で【踊ってみた】といっても、コスプレをして踊っていたり、撮影場所や衣装にこだわっていたりと様々です。

 確かに、【歌ってみた】や【描いてみた】の方が、同じ【〇〇してみた】でも《アレンジ》は伝わりやすいし、特別感があるかもしれません。

 …でも、【踊ってみた】には様々な要素が詰まっていて、同じ曲でも使用する楽曲のバージョンや撮影場所の風景等が違うだけで、踊り手の《魅せたいもの》が全然違うんですよね。

 よく、母の日等にデパートに飾られる沢山の《塗り絵》ってありますよね?

 ああいうのを見ていると、【〇〇してみた】の文化も伝えやすいのかもしれません。

 元は同じ線画のイラストですが、子供達が選ぶ画材や配色によって、世界観や表現が全く違うイラストになりますよね?

【〇〇してみた】もこれに似ていて、元は1つの楽曲だったけれど、沢山のクリエイター達の手によって、様々な表現方法を見る事ができるのです。


 ただし。

 グレーゾーン…ほぼアウトな【〇〇してみた】も多いのが実情です。

 大抵は、ライブ配信等での【歌ってみた】で見かけます。

 それは、原曲やカラオケ屋さんの音源を無許可で使用する事です。

 配信環境によっては、手順や登録等を行えば使用しても大丈夫だったりしますが、基本的には規約に《使用禁止》と記載があります。

 ですが、カラオケ屋さんからの配信等が散見されます。

 仮に訴えられても、サイトや運営側は責任を取らない旨が記載されている事が多いので、気をつけなければなりません。

 軽い気持ちで行なって、事件に発展でもしたら、それこそ今まで沢山の方が大切に築いてきた文化が崩壊いてしまうかもしれません。

 どの分野にも言えることかもしれませんが…


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