第18話:就職する前に

 このエッセイで度々お話ししていますが、私は高校を卒業してすぐに就職しました。

 今回は、その時に感じた《気を付けなければならない事》をお話ししようと思います。


 私が通っていた高校は、普通科ではなく工業高校でした。

 その事もあって、高校には沢山の求人が来ていました。

 就職組は、自分の進みたい職業や給料等を見比べながら、就職先を選んでいました。

 私もその中の1人で、自分なりに色々考えながら決めました。

 ちなみに、当時の私は携帯電話を所持していなかったので、ネット環境は自宅のWi-Fiを使って、PSPのブラウザしか使用できませんでした。

 当時の私は《会社の情報》として、調べなければいけない事が足りなかったと、今更ですが思います。


 私が入社した会社は、基本的には良い会社でした。

 基本的に定時で帰宅できるし、繁忙期の残業といっても1時間程でした。

 お給料もちゃんと貰えていたし、昨今問題になっている《ブラック企業》とは違う印象でした。


 ですが、一年が過ぎた頃に印象が180度変わってしまいました。

 私が入社した会社は、とある慈善団体に加盟(所属?)していました。

 ※私は、宗教の一種だと感じていますが、当人達は『宗教じゃない』と言い張っているので、慈善団体とします。

 社長がこの団体に所属する分には構わないと思います。

 個人の自由だと思いますから。

 ですが、我々従業員まで団体のイベント等に参加させられていました。

 役職を持つ上司達は、社長へのご機嫌取りも兼ねて、積極的に参加していました。

 なので、業務での出張よりも団体関係での出張が多く、私の部署に1人しかいない部長も課長も、団体の出張へ参加する事が有り、責任者の居ない空間での業務も度々ありました。

 他の部署から質問等があっても上司は団体の研修に参加していて現場には居なかったので、その旨を伝えると

「なんで上司が居ないのに作業できるんだか…」

 みたいな嫌味も言われましたが、あまりにもごもっとも過ぎて、反論できませんでした。

 仕方がないんです…この会社(社長)の考えは【団体の研修>会社の業務】になていましたから。

 そして、この団体関係で1番嫌だった事が、入社2年目の春に必ず団体主催の研修に三日程行かなくてはならない事です。

 入社2年目なんて、やっと仕事内容も一通りこなせるようになって来て、戦力として扱ってもらえるかの大事な時期です。

 そんな時期に、関東の某所へ泊まりの研修で、しかも内容は業務に全く関係のない事ばかり。

 研修施設では、とても綺麗な場所でしたが信仰色が強く、逆に気分が悪かったです。

 約三日間行われた研修は、会社のお金で参加したけれど、こんな処で仕事に無関係な研修を受けるくらいなら、仕事をしたかったです。


 そして年に1〜2回程、団体に加盟している他の会社による講演会等にも参加させられました。

 私は、この時ほど『タバコを吸っていればよかった』と思ったことはありませんでした。

 喫煙組は、会を抜ける理由を作れるからです。

 最近Twitterで新人研修が話題になっていますよね。

 この団体の活動も、近い部分はある気がします。

 ああいう、自身の倫理観や道徳観、『社会人とは!人生とは!!』みたいな理屈を押し付けるような講演会は嫌になります。

 しかし、経営者陣には受けが良かったりしますよね…。

 結局は、社交界の延長に我々は付き合わされているだけなんです。

 私が務めていた会社が所属していた団体も、色々な活動をしていましたが、最終的には社長同士の繋がりが欲しいだけなんですよ。

 意味不明な講演会や、新人研修が開かれていて問題になっていますよね?

 もしかしたら、その会社も似たような団体に所属しているのかもしれません。

 そして、その繋がりで招かれた講師なのかもしれません。

 思い当たる節があったら、一度調べてみるといいかもしれないですね。


 色々書いてきましたが、じゃあ実際問題どうやったらそういう会社に入らずに済むのか…?

 結構難しい問題だとは思います。

 会社のHPに、わざわざ『我が社は〇〇団体に加盟しています』なんて記載しないでしょうし…。

 因みに、こういう会社から転職する場合は、団体名が分かっているので、ネットで検索して名前が載っていない会社から選んでいました。

 団体名が載っていなくても、『朝礼に力を入れています』みたいな雰囲気のある会社は気をつけた方が良いと、個人的には思います。

 特に、『活力朝礼』という単語を使用している会社でしたら、所属している場合とそうでない場合があるので、調べてみた方がいいと思います。


 最後に。

 今回、ほぼほぼ団体名等が特定されやすい内容になってしまいました。

 私が関わった団体には、とても苦痛な記憶しかありません。

 しかし、中にはこの団体の活動に賛同している方達もいらっしゃるし、有効活用している会社もあります。

 ここでは、だいぶ悪い風に書いてしまいましたが、あくまで私の感想です。

 こういう団体に関わるのは、であって、だとは決して思いません。

 社長が個人的に参加する分には文句はありません。

 しかし、業務時間を削って社員を参加させるのは間違っていると思います。

 こういうのも、ある意味ではハラスメントの一種なのかもしれません。

 現在では、様々な情報を見る事ができますから、どうか就活前から気をつけておくと、社会人になった時のストレスをかなり減らせると思います。

 予防策としては、いくつかの団体のシンボルマーク等を覚えておいて、企業説明会等に参加した際に、同じマークのピンバッジ等を付けた社員がいるかを確認したりとか…。

 まぁ、ピンバッジ付けるレベルなのは社長ぐらいでしょうけどね。

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