自分語りになってしまいますが、僕は小説の中でキャラクターを動かすときは、基本的に「キャラクターの意思」みたいなのを尊重しています。
読者においしい展開を筆者が作為的に紡いでいく話ではなくて、一人一人の人物が自分の頭で切実に考えて動いていく物語が好きなので……
でもそれは、食べ物で言えば「素材の味を活かすこだわり」みたいなもので、最近ではスナック菓子や炭酸飲料のような、人工的な調味料を多用した食品も人気がありますよね。
僕自身、そういうジャンクフードみたいなのは大好きです。
ジャンクフードは、消費者の味覚を満足させるために、素材に様々な調味料を加えて成り立っています。
桜木さんの言う「本当に描きたかった物語」というのは、ひょっとすると「素材の味を活かした食品」のことではないでしょうか。
世の中の創作物には、もちろんそういう趣向のものもたくさんあります(主に純文学と呼ばれるものですね)。
しかし、大量に売りたい、熱烈なファンを獲得したい、というふうになってくると、素材本来の味に頼るのではなく、消費者の味覚に合わせた調味料をどっさり加える道を選ぶのもいい戦略なのかもしれません。
お約束の展開や萌え系イラストなどがその調味料です。
原材料を見て食品を選ぶように、僕たちも自分の嗜好に合わせて作品を選んでいくしかないのかもしれませんね。
アニメ化されるのが大抵「ジャンクフード側」なのは問題かもしれませんが……
作者からの返信
私も、極力『登場人物の意思』を優先して執筆しようと思っています。
登場人物をチェスの駒みたいに扱うのではなく、あくまでそれぞれ自由に行動してもらうんですよね。
食べ物の例え、凄い解りやすかったです。
確かに、最近のアニメ作品や実写映画は人工甘味料を多く使用した、ジャンクフードなのかもしれません。
人気の役者や声優の起用。
最近の流行語の使用。
時事ネタの使用。
『売れる為』に使われる調味料は、とても魅力的で期待効果も大きいでしょう。
そして、私が今回書いた内容は、おっしゃる通り『素材の味を活かした食品』なんだと思います。
野菜サラダとか、素うどんみたいなイメージですかね。
でも、そういう料理はあまり人気も出ないだろうし、やはりドレッシングや具材は欲しくなってしまいます…。
しかし、ここでシーザードレッシングやカレー味を選択してしまうと、食材の意味も薄れてしまうのではないかと思ってしまいます。
『カレーライス』は、ライスを食べる為のカレーではなく、カレーを食べる為にライスがある。
…なんて事を言う方がいる様に、人工甘味料等のトッピングが強すぎて、素材はなんでも良い。
なんて事になったら駄目なのかな…と思います。
これは、完全に映画の予告編の影響なんですが、恋愛映画の予告で『壁ドン』されてときめく主人公…みたいなシーンを使ってるのを見ましたが、『壁ドン』なんて所詮調味料なので、わざわざ予告編で「この映画では、こんな調味料使ってますよ!」なんてアピールされても困ってしまいます…。
あくまで噂ですが、小説コンペ等で『最近、似た内容が多くて…』みたいな傾向がある様です。
料理コンテストに、ジャンクフードが出品されるって考えると、混沌としてますね…。
昨日、本屋さんでたまたまチビの参考書を選んでたんですけどね、参考書にも似たようなイラストが散見されました。男児向け、女児向け共に、それぞれに萌え文化が進出していました。
是非を問うつもりはありませんし、そのイラストが勉強に興味を持つきっかけ、あるいはモチベーションに繋がるのであれば買い与えることもやぶさかではありません。
しかしそこに「性的」なものが見え隠れするレベルになると、親としては唸りをあげるばかりですね。特に恋愛事に敏感な年頃ですから。
作者からの返信
そうだったのですね…。
児童向けの参考書でも萌え文化が…。
確かに、萌え系イラストの方が可愛いし、読んでいて楽しいかもしれないですね。
私も参考書コーナーで、初音ミク等のVOCALOID楽曲で英語等を学べる参考書が置いてあって、とても驚きました。
私の頃は、『ビートルズの楽曲はテストと相性が良い』なんて言われてた気もします。
擬人化系の参考書も多いですが、児童向けの参考書で露出度が高いキャラクターが描かれていたりすると、『何か』に目覚めてしまいそうですものね…。
作中でのリアリティと、商業的マーケティングの隙間に挟まれているのでしょうね、彼ら(=キャラクター)たちは。
確かに、僕だって自分の描いたキャラクターたちのことを広く知ってもらいたいと思いますし、読者さんの味方、励ましの一因になってくれたら、などと高望みもします。
そのために多少の、特定方向の描写の『盛り』があるのは仕方がないのかなあ、と。
極端な話、歴史小説の文庫本みたいな表紙イラスト(あれはあれでいいんですけれど)でラノベやアニメが売れるか? ということですね。
ううむ、悩ましいところではありますが……。僕などは主人公が大抵男性(男子)なので、我ながらどうしたものやらと今から危惧しております……。