第4話:酒の肴(原材料は若者の精神力)

 今年も、気がつけば4月半ばになりました。

 このテーマを書くなら、3月末くらいにしておけばよかったと、少し後悔をしています。

 今回のテーマは、新社会人の皆様には『もしもの時』に身構えられる様に。

 そして、新社会人と交流を深めるためにも呑み会を開こうとしてくださる、30〜40歳の皆様には『もしもの時』を起こさない様に。また、目の前で起きてしまったらちゃんと止めてあげられる様に。

 そんな願いを込めて、書こうと思います。


 私は、高校を卒業して社会人になりました。

 工場勤務だったこともあり、呑み会は小規模なものも併せれば、多い時には週2回ペースでした。

 呑み会には、高校卒入社の18歳〜60歳と幅広い世代の男女5〜7人規模が多かったです。

 仕事終わりに、駅前の居酒屋で吞むお酒は美味しいですよね。

 私自身、呑み会自体は好きなんです。

 別の部署の人達と仕事の話をしたり、趣味の話をしたり…。

 普段話す機会のない人と、共通の趣味があったと分かった時、物凄く嬉しいんですよね。

 ただ、呑み会で私は物凄く嫌いな時間があります。

 それは、《恋バナ》です。

『呑み会で《恋バナ》なんて普通でしょ?』 …って思いますよね?

《恋バナ》全般が嫌いなわけではありません。

 例えば…


 ①タイプ

 A「実は、私最近C君の事が気になってるんです」

 B「Cって、〇〇部署の?」

 A「そうなんです!先日、喫煙所で少し話したんですけど、すごく優しくて!!」

 B「〇〇部署ならよく行くし、今度一緒に呑み行けないか誘ってやろうか?」

 A「え!良いんですか?」


 ②タイプ

 A「なぁ、Bちゃんて今彼氏いるの?」

 B「彼氏ですか?居ませんよ」

 A「マジで?彼氏いないの?」

 B「別に彼氏とか今h…」

 A「おいC!お前確か彼女いなかったよな?」

 C「え…。はい、いませんけど」

 A「やっぱしな!どう?」

 B「どうって、Cさんも急で困ってるじゃないですか」

 A「どうせ相手いないんだろ?」

 B「いや…。そういう問題じゃなくてですね」


 基本的に、避けては通れない話題です。

 ①はまだ許容範囲内です。

 自分発信の《恋バナ》は大丈夫です。

 自分でよければ相談に乗るし、応援することもできます。

 ②は、A側が楽しいだけでBとC側は迷惑でしかありません。

《恋バナ》というのはとても厄介な存在です。甘く考えては返り討ちにされてしまいます。

 一番の難問は、「今、付き合っている人っている?」という質問。

 恐らく、呑み会で必ずと言っていい程聞かれます。

 この質問でどう答えるか、全てがこの一問にかかっているのです。

 ですが残念ながら、どう答えても面倒な展開になることに変わりはありません。


「付き合っている人がいます」と答えた場合。

 相手がどんな人なのか、質問責めをくらいます。

 写真やプリクラの有無は勿論、付き合うことになった経緯や初夜なんかも聞かれる可能性があります。

「そんなの嫌だ!」と思った場合、仮に付き合っている相手がいても、「付き合っている人はいません」と答えます。

「なんだよいねーんか」…で、自分の番が終わると期待を込めて答えるんです。

 しかし、最悪な場合は先程書いた②タイプの様な展開が待ち受けているのです。

 外野は、『相手がいないんだったら、今いる面子から探せば面白いんじゃない?』と、軽い気持ちで《即席合コン》を始め、地獄の時間が始まってしまうのです…。


 私は以前、《呑み会》に誘われて参加したら《合コン》だった事があります。

 序盤は普通の《呑み会》だったのですが、途中で《席替え》の指示が入りました。

 一緒に参加していた女性と目配せして、『この会怪しくない?《呑み会》だよね?』と確認したりもしました。

 ですが、決定打の《誰かを選んで指差し》が始まったのです。

 男性陣が目を閉じ、女性が気になった男性を指差す…パーティーゲームですね。

 疑いが確信に変わる瞬間です。

 その会の終盤で、私と年齢の近い男性が『この会は、30代の先輩に彼女ができないから開催された』と教えてくれました。

 そして、私達を誘った人に「何故、《合コン》だと教えてくれなかったんですか」と聞くと、「だって、正直に《合コン》って言ったら皆来ないでしょ?」って言われてしまいました。

 私達は何重にも騙されていた事実を知りました。

 私達は、翌日から社内で参加者の男性陣に会っても無視することにしました。

 救いだったのは、男性陣が全員別部署だった事です。

 そして後日、参加男性の1人に当時私達は騙されて参加していた事、そしてその時のことを許す事ができない旨を伝えました。

 男性は、私達が参加した経緯は知らなかった様で、謝ってくれましたが、やはり許すのは難しかったです。


 騙された私達の方も悪いだろって、言う人もいるでしょう。

 ですが、入社したての新人に何がわかるって言うんでしょう。

 最近テレビで、若者が会社の呑み会に参加しなくなっている。という内容を見ました。

 そりゃ、新入社員が入ってくる度に様々な情報を搾取して、呑み会を開く度に披露されたり、喫煙所等で搾取した情報をカサ増しして、他部署にも拡散する様な人達もいるから、仕方がないだろって思いました。

 勿論、あくまで私の実体験から連想させた感想ですけどね。

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