第2話 選択
まるで深い深い海の底に沈んでいく感覚。
体に力は入らない。本来なら浮いていくはずだがどんどん沈んでいく。
さっきの駅のホームに落ちて電車が通ったのは夢だったのだろうか。
そして扉が見えた。
大きな大きな鉄の扉。人一人の力じゃ決して空けられそうにない。
だが扉に近づくと扉が開いた。
中から放たれる強い光。眩しくて思わず目を瞑ってしまった。
目を開けるとそこは椅子以外何もない空間だった。
周りは黒いのに明るい。そして終わりの見えない空間。
「ようこそ。死後の世界へ」
すると上から声がして人が降りてきた。
背中には羽を生やし、頭の上には丸い輪っか。金髪よりの茶髪でダイナミックな胸。布一枚で出来ているであろう白い服装。
緑色の瞳に桜色の唇。透き通った肌。
まさしく天使そのものだった。
「どうぞ椅子にかけてください」
言われるがまま椅子に座る。
そして唐突に告げられた。
「あなたは今死にました。」
「は?」
思わず口から出てしまった。
無理もない。こんな状況で死にましたなんていきなり言われても誰だってこう言う。
「説明が足らなすぎて理解出来ないんですが...」
「すいません。いきなり死にましたなんて言われてもわかんないですよね」
彼女は優しく微笑んだ。
そしてまるで慰めるように言った。
「あなたは今電車に轢かれて死にました」
「・・・・・・」
あれは夢ではなかったのか。そしてしばらくの間沈黙が続いた。
「あ、すいません。ちょっと信じられなくて」
長い沈黙を破ったのは僕だった。
「ほんとにお気の毒です。この年で死んでしまわれるとは......」
「あはは...」
苦笑いをするしかなかった。
死んだという実感がないし、あまりにも一瞬のことだったから。
まさか電車に轢かれて死んでしまうとは。
心機一転しハッピーライフな高校生活を送ろうとしていた矢先にこうなってしまうとは。
「本題に入りますがあなたには三つの選択肢があります」
「選択肢?」
「はい。輪廻転生をして現代に帰るか、天国で仕事や自由な暮らしをするか、ボランティアをするかです」
「二つは分かるんだけどボランティアってなに?」
「はい。ボランティアとは頼まれた仕事は何でもやり全力で依頼人のサポートをすることです」
「なんだよそれ」
「早く選択肢を選ばなければ魂が消滅し意識はなくなりますよ」
彼女は笑顔で言った。
この時僕は残酷なこと言えるって女怖いと思った。
「じゃボランティアで」
「はい。承りました。それではご武運を
「なんで俺の名前を?!」
「ふふっ」
口元が動くのが見えた。だが時すでに遅し。ゲートが作られ飛ばされたのだった。
転生先でボランティア活動 黒泉杏哉 @KYOYA0722
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