31日目
風歩日記。……学校に登校する。ここ数日休んでいたので久しぶりの登校。久しぶりにタツ子とカオルに会った。稲田にも。商店街の人間が失踪しているという話も聞いた。その中に稲田のお父さんも含まれていることも。稲田になんて声をかけていいか分からなかったけど、稲田は気丈に振舞ってた。
風歩日記。……放課後、青先輩と屋上で会った。あれから教会の神父の部屋を調べて青先輩は妹の青野紫歌と連絡を取れたらしい。今週の土日に青先輩は妹さんに会いに行くと言っていた。私も写真を見せてもらったが、青先輩そっくりで驚いた。流石双子。この美人姉妹ふたりが並んだらさぞかし壮観だろう。
風歩日記。……沢代君と速水アリスは治療を受け、傷が治ったら北関東の田舎に引っ越してアリスの心のケアと再教育を行うらしい。もう沢代君に会うこともないだろうと青先輩に言われた。そっか。もう、沢代君には会えないんだ……。私は涙を流していた。そして気づいた。恋が失恋で終わったことに……。
風歩日記。……放課後ばっちゃんの喫茶店でカレーを食べていたら商店街のみんなが入ってきた。みんな相変わらず元気で私を見ると明るく笑顔で挨拶してくれた。私も笑顔で応える。くだらない冗談に他愛のない会話。でも今はそれさえ奇跡のように感じる。いつも通りの日常が私の心を癒しているよう。
風歩日記。……家に戻る。カケルがいた。ひとり泣いているようだった。カケルは頭のいい子だから、お母さんが帰ってこないことを何となく察してしまったのだろう。私はカケルを抱き締める。カケルは私の胸の中で泣いた。大丈夫。カケルには私がいるから。私はもうどこにも行かないから。大丈夫。
風歩日記。……こうして私の家出は終わった。本当に1ヶ月色々なことがあった気がする。みんなには本当にお世話になった。これからは私がみんなにお返ししてあげる番だと思う。明日辺りタツ子に家出を促してみようかな。冗談。でもきっと私は家出なんてしない方がいいって言うんだろうなー。
風歩日記。……家出の日記を書くのもこれで最後。お母さんとの喧嘩から始まった家出だけど、本当に色々なことがあった。まだ消化できていないことだってある。ここ数日でみんなの覚悟や決意に触れた。これからは私が確りしなきゃいけない。私が家族と、商店街のみんなと力を合わせて頑張るんだ。うん。
風歩日記。……この先、どんなことがあろうとも、家族と、友達と、商店街のみんなと、力を合わせて乗り越えることを、ここに誓い、この日記を閉じることにしよう。それじゃ、また何かある時まで……バイバイ♪
風歩日記。……そういえば、どうしてお母さんと喧嘩したんだっけ?
風歩日記 みきちず @mikitiz
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます