30日目
風歩日記。……私は青先輩と一緒に警察にきていた。別に自首しにきたわけじゃない。商店街のアリスとその実行部隊の指揮を執っていた警部と対決しに来た。といっても私は何故かついてきただけ。青先輩と警部の話はすぐに終わって警部はあっけなく罪を認めた。青先輩は「当然の結果だ」と言っていた。
風歩日記。……警部と青先輩の対決。決め手になったのは青先輩の一言。「これ以上商店街を壊されたくないだろう」それだけだった。警部も商店街と共に生きてきた人間だった。商店街は家族なのだ。その商店街が壊れていく。既に4人死んだ。警部は商店街を守るために罪を認めたのだろう。
風歩日記。……青先輩に色々な話を聞いてみた。私の家出をサポートしてくれたのは私がへこたれて家出をやめたら、せっかく動き出した歯車が止まってしまうからだった。それ以前にも青先輩達と商店街では小競り合いがあったらしい。でもアリス復活の決定打になったのは私の家出だった。
風歩日記。……携帯電話に着信があった。お母さんからだった。私は電話に出る。元気、ちゃんと食べてる、そんな言葉をいくつか交わした後、お母さんは言った。「さよなら」って。そこで電話は切れた。私は走って家に帰った。
風歩日記。……家には鍵がかかっていた。私は鍵を開けて家に入る。居間のテーブルの上にお母さんからの手紙があった。お父さんとカケル、そして私宛の手紙があった。私宛の手紙を読む。
風歩日記。……「私は罪を犯しました。12年前に商店街で連続強姦殺人事件が起きました。その犯人を稲田さんが殴り殺しました。被害者の中に稲田さんの親友の妻がいて、その親友も妻の後を追い自殺したから、稲田さんは許せなかったのでしょう。私は商店街に協力して稲田さんの罪、商店街の罪を隠蔽しました」
風歩日記。……「あなたが家出した時から薄々こうなる予感はしていました。アリスの再活動、それに伴う反アリスの活動。どちらが勝つかは分かりませんでしたが、結果はあなた達の勝ちでした。私も罪を認めて自首するべきなのでしょうけれど……残念ながら私は潔くないの。だから逃げることにしました」
風歩日記。……「あなたは強い子。私がいなくても立派に生きていけるでしょう。それじゃお父さんとカケルをよろしく頼みます。どんな困難があっても大丈夫。あなたには闇の祓われた商店街がついているのですから。迷ったら誰かに相談なさい。きっと誰かが力を貸してくれます。では、さよなら」
風歩日記。……私は手紙を読み終えた後、庭で手紙を燃やした。これは犯罪の自白。証拠になるもの。でも燃やした。こんな手紙、お父さんやカケルに見つかったら大変だと思った。だから燃やして証拠隠滅することにした。灰になった手紙を地面に掘った小さな穴に埋める。これでいい。これでいいんだ。
風歩日記。……久しぶりに自分の家に戻ってきた。夕食の時間になってお父さんとカケルも帰ってきた。ふたりとも手紙を読んだけど、ふたりの手紙にはもう戻ってこない旨は書いていなかったようだ。3人で夕食を食べる。3人……もうお母さんが戻ってくることはない。家族が欠けるってこういうことか。
なんでも知ってるムジークン。
風歩さんは手紙を焼くことで自分も罪を一緒に背負うことを決めたコポ。それが風歩さんの選択コポ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます