応援コメント

「運命の日《魔法暦100年》 中編(5)」への応援コメント

  • 影の王の正体があまりにも意外で、これは驚愕でした。
    石油が別方向へ進化した物という、この発想は凄いですね。それをどうにかすべく打った手が、微生物を使っての、役に立たない資料にあったごく普通の石油に変換するという・・・この辺りの発想も非常に良いです、これは思いつかないですわ。
    あと、影の王が微生物を生命として認識していないという、この辺りは機械的な反応によるものか、それとも影の王が微生物を知らぬが故の反応なのか、あれだけ動き回っていた事を思えば、やっぱり影の王には意識があって、微生物に関する知識が無かったが為の弱点だったのかなあと思う次第です。
    そして最後に登場したジョースタックさん、色々あった連中を全部まとめて連れて来るという、熱い展開で良いですねえ・・・これで決着となるのか、また読みに来ます!

    作者からの返信

    感想コメントありがとうございます。

    実は石油より先に「微生物」というネタが元にありました。トムクルーズ主演の「宇宙戦争」(原作HGウェルズ)を観て衝撃を受けたからです。(今まで黙っていましたが良い機会なので白状します。)見えないバクテリアが圧倒的軍事力を誇っていた宇宙人の天敵だったという設定、原作通りに宇宙人を死滅させるラストはまさしくミステリー要素満載のラストでした。

    一方で、第3者に助けてもらう形で幕を下ろす展開には不満を抱いていました。監督のスピルバーグはジュラシックパークでも第3者に助けてもらうラストを描いていましたが、私は個人的に主人公の努力が結実して、ハッピーエンドになる作品が好きです。本作は人間が微生物を利用して、巨大な敵に最後の作戦を仕掛けます。

    微生物と巨大な敵を結びつけるうえで誕生したのが、石油の怪物です。ただし、石油は熱と圧力で作られた化石燃料というのが現在の主流とされる考え方です。その中で、国内唯一の油田であった相良油田の研究で石油分解菌が、石油がないときに石油を作り出す実験結果を見つけました。石油の起源としても石油分解菌由来は一説として存在します。日本発ですから、題材とするには最適です。

    こうして、巨大な敵が巨大な年月をかけて持ちえた脅威を小さい人間がより小さな(見えないぐらいの)微生物を用いて対処するというラストが生まれました。見えない微生物は理論によって存在を立証することができます。顕微鏡のない本編の世界観では、「役に立たない」禁書の情報を活用するという形式をとりました。

    また、メタンとメタン菌を本編の記述に織り交ぜています。これはメタンハイドレートを匂わすものです。石油は石炭より少ないとはいえ、CO2を排出する化石燃料です。メタンハイドレートは石油よりさらに温室効果ガスの発生量が少なく以前より新エネルギーとして注目されています。文献を調べた限りでは様々な問題というか障害があるようですが、おそらくカーボンニュートラルへ移行するワンクッションとして、改めて取り沙汰されるのではないかと思います。

    「影の王」とは地面を掘り進めた結果誕生した、人間の欲の権化です。科学的なラストになったのは、物語に登場する人間が持ちえた簡易的な元素を応用しつくして学術にまで発展させた知恵と知識で勝利する、そんな展開が描きたかったからです。本作のメインテーマである実体のないソフトウェア技術に彩りを添える「見える」ラストシーンに是非ご期待ください。

  • 熱い展開ですね……!
    涙腺弱いので、涙なしには読めません。
    影の王の正体はびっくりなるほどでしたが、投獄が伏線になっていたとは……(そういう訳ではない?
    いずれにしても、どこまでも科学的。いろんな意味で感動です。

    作者からの返信

    ご感想ありがとうございます。

    投擲~作戦に関しては、伏線として執筆させていただきました。この場合、伏線という定義が正しいかどうかはわかりませんが、過去の投獄という経験を糧に最後の一押しをするというシーンです。

    あまり綺麗でなく、むしろ汚かったり臭かったりするのですが、物語の底で描写された内容が翻って、大きな切り札になるというカタルシスを演出いたしました。

    作者自身の人生観なのかもしれませんが、どんなに汚くつらいことがあっても、いつの日か役に立つことがあるかもよ。というメッセージです。

    対象が汚いほど効果的でひっくり返ったときの感動が増すのではないかという狙いがありました。(狙い……というよりはむしろ直感みたいなものかもしれません。)

    その辺りの想いと科学的考証を合致させるのが一番苦労したところです。感想をくださったことには苦労が報われる思いです。改めてありがとうございました。