第六章 登場人物・用語解説



※第六章のネタバレを含みます






〈登場人物〉


焚実たざね久祈くおり

・女 14歳

 視線支配の稀癌を持つ少女。とはいえまだ未熟なため、自分に向けられた視線を任意の方向に逸らすくらいしかできない。他人の視線を恐れるわりに、自分を見つけて欲しいと願っている。髪を派手な色に染めたのもそのため。彼女の家族は彼女に関心がない。誡たちと同じく上城町に住んでいるが、通う中学は別。小学六年生の後半からほとんど学校に通っていない。だが誡と出会ったことで少し気持ちが向上。その後は自宅で勉強し高校へ進学。卒業後は、誡が奏繁を巻き込んで始めた仕事の従業員をしながら大学生活を送る予定。



◇ドゥ◇

・男 ?歳

 多くの威権を捨て去りながらまだ威張りくさる神を戒めた罪人。暴食の神は飢饉の中にあっても自身への捧げ物を要求していた。そのせいで飢え死する仲間たちを見て、彼は神殺しを決意する。しかし失敗し、神から『不老・不死』の威権を押し付けられることに。罪状は『節制』。原始末期の生まれ。

 原始が終わり、人の時代が始まった頃に少年と出会う。そういった短い間を共に旅する人間はたくさんいたため、別れたあとその少年のことは忘れてしまった。成長した彼と再会しても気づいていない。そうして捕尾音に魂願をぬく占いを教わり、師弟関係となる。その後はずっと、自分を殺してやると言う捕尾音と旅を続けた。しかし最後まで、どうして彼が自分にそこまでしてくれるのか、自分の名前すら忘れてしまった彼には分からなかった。

 現在は死を迎えるまでの余暇を使い、世界を旅してまわっている。めぐるのは、友と旅した懐かしい道程。



捕尾音ほびね宍粟しそう

・男 ?歳

 幼いころ心身ともに死にかけていた自分を助けてくれたドゥを大切に思っている。再会したあと、彼が自分を忘れていることに気づいて正体を明かさなかった。ドゥに死という終焉を贈るために彼を殺せる稀癌を探す旅をしていた。死んだ肉体を呪いで無理矢理稼働させ続け、魂も呪いで摩耗しきっている。

 己を見失い始めたころに彼自身の稀癌を発現させる。友の死を願い続けた結果、その稀癌は自分の命と引き換えにどんな生命も終わらせる究極の稀癌となった。しかしその記憶は捕尾音と離れがたかったドゥ本人によって封じ込められてしまう。そして願った稀癌が自分の中にあることを忘れた彼は、再び稀癌を集める旅に専念することとなる。もはやなぜ自分が稀癌を集めようと思ったのか、その始まりの記憶も亡くしながら、彼は稀癌を蒐集しゅうしゅうする稀癌喰いとして恐れられた。



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