朝令暮改の果てに

〈ああ、まただ〉

 開きっぱなしのPC画面に現れたメッセージに、本日何度目かの溜息を飲み込む。メッセージの内容は、今朝示された指示からは全くかけ離れている。また、一から作り直しだ。これで何度目だろう? 数えたくもない。

 生活のためだから仕方がない。そう割り切ってキーボードを叩く。


 それから三ヶ月後。


 廃墟となった元職場に、呆然と佇む。

 結局、修正し続けたあのシステムは、とことん無駄、いや有害だった。朝令暮改の果てに、この世界は全て、灰燼に帰してしまった。しかしこれで、果てなき修正からは解放された。安堵の息を吐くと、塵になったシステムの残骸が灰色の虚空へと散っていった。

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小さな言の葉 〜300字SS〜 風城国子智 @sxisato

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