150 - 最終話『さらば平成!昭和と共に去りぬ!』

 今、全ての決着を付ける時……!


 ※単行本第四巻は電子書籍での販売のみになります


 今までのあらすじッ!

 三十年戦争と呼ばれる元号騒乱は(中略)しかし、二大大国の愚かなゼロサムゲームを演じ(中略)劇的なエネルギー源、シコニウムの発見が(中略)あっ、イモはアイダホよりノースカロライナなんで(中略)決着の日を迎えようとしていた。


「ぐあああっ! これは……クソォ!」

『ははは、どうだヘイセイン! 新元号戦士しんげんごうせんしと呼ばれた貴様の最後だ!』

「クッ、流石さすがだぜ……ショウワイダー! お得意の【気合と根性だけの精神論ビーム】か!」


 苛烈な光がヘイセインを灼く!

 自慢のユトッテル装甲もボロボロだ!


『まだまだ行くぞ! 5,000兆度の必殺熱線、50億メガトンの重粒子ミサイル!』

「うがっ、がああああ! 昭和特有のインフレ武器だと!?」

『さらにっ! 必殺! 【高確率で敵の幹部が身内、親兄弟ファイヤー】を喰らえっ!』

「ぐはあああああ! 世間が狭い! ドラマ密度が濃厚過ぎるぜっ」


 やばい、ピンチだヘイセイン!

 まるでバブルが弾けたあとのように弱っている!

 しかし、我々は信じるしかない……この平成という時代を! 平成を守ってきた、平成が育ててきた新元号戦士ヘイセインを!


『どうした、ヘイセイン』

「こんどはこっちの番だ、ショウワイダー! いくぞぉ!」

『ぐっ、ま、まだこんな力が!?』

「魂の一撃……そこぉ! いけっ、【妙にナイーブで消極的な主人公レーザー】ッッッッ!」

『ぐあああ! ブラウン管の外からでも殴りたくなる、このウジウジ感はっ!』

「ブラウン管、か……地デジの時代には通じんな、ショウワイダー!」


 反撃だ、いいぞヘイセイン!

 しかし、シヨウワイダーもまた、大元号戦士だいげんごうせんしと呼ばれた最強ロボ!

 油断は禁物だ!


『甘いわぁ! 喰らえ、【マクロの空がゲッターパイロットZゼット! あい・戦士く・だ・さ・い】だ!』

「うおおっ、ゆるい! 圧倒的に版権意識や著作権の概念がゆるい、まさに昭和そのもののパワーだっ!」

『ばいちゃ!』

「カハッ!」


 今なら裁判沙汰さいばんざただ、どうするヘイセイン!


「くっ、だが……偉大な平成が生み出した力よ……俺に力を」

『ふっ……その技、【三つの心が一つになれば的な時間限定リミッター解除】は、すでに昭和が完成させた技! 変えようとも、名をさ! 何ができるものかよ! いっちゃえてやれよー!』

「唐突な富野節とみのぶしっ、だが……だが、俺の力は! うおお、明日がほしい! 未来がほしいいいいいい!」

『これは……平成ロボ特有の【ふわっとしたポジティブスローガン絶叫】か……だがっ!』


 ああっと、ヘイセインの機体が赤く……あかく染まってゆく!


「……最終奥義……【久遠の十四歳ネバーナチュラル】、このモードのヘイセイン、果たして操りきれるか」

『なんてパワーだ……Lv99? くっ、総合ランクSSS……しまった、ゲームナイズドな台詞せりふを言わされている!』

「選べ、ショウワイダー……お前が行き着く先は殲獄ジュデッカか、それとも奈落アビスか」

『くっ、ルビの圧が無駄に強い……だがっ!』

「受けろ、我が奥義! 【創世聖典引用神話独語乱舞ソレッポイヤツカッコイイネン】ッッッッ!」

『ぐあああ! 何が面白いのかさっぱりわからん! こ、これが平成か!』


 ヘイセインの勝利だ!

 おお、おお……今、二機の元号戦士が手に手を重ねて!


『負けたぜ、ヘイセイン……今まで辛く当たって悪かったな』

「フッ……お得意の【拳で語れば次はマブダチ】か……だが、それがいい」

『引退して結婚する前に、お前のような元号戦士に会えてよかった。次の出撃で平成の終わりを見届けたら……田舎で小さなバーでもやるさ』

「唐突なフラグ……平成的に俺の力、【まあ全部昭和生まれの作者が書いてるからな】……いわゆるメタ発言が出てしまうぜ」


 今、戦いは終わった。

 そして、平成の終わりも見え始めている。

 あのゴールの先、あらたな年号にどんな戦いが待ち受けているのか……

 ゆとりと言われ、氷河期のような世知辛せちがらい時代だった平成生まれ。

 ひたすらに論理も合理もなく、精神論に支配されてきた昭和生まれ。

 手に手をとって――


《ハッハッハ! すでに終わった昭和、そして終わりゆく平成! そこまでだ!》


 だっ、誰だ? ああ……あれは、


『むぅ、お前は!』

「来ちまったか……俺の次に日本をつかさどる、新たな元号戦士! その名は――」


 さあ、新たな戦いが始まる。

 来年の今頃に、その目で適当に確かめてみろ!


NEXT……151 - 違いのわかる男

https://kakuyomu.jp/works/1177354054885440692/episodes/1177354054885594047

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