132 - The Tale of Gen2 ~ロボット源氏物語~


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 いづれの御時おんときにか、女御セクサロイド更衣ドレサロイドあまたさぶらたまひける中に、いと最新鋭のやむごとなききわにはあらぬが、すぐれて高性能の者ときめきたまふありけり――


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 The Taleテイル ofオブ Gen2ゲンジ


 Episode.05 “Youngヤング 66-SKムラサキ


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Hika6ヒカル-Gen2ゲンジともあろう御方おかた動作不良おこりやまい加持ドック入りなんて、情けないですよ」

「うるさいな、Kore-3コレミツ。わたしには休息オーバーホールが必要だと神様が仰っているのであろうよ」

「そんなこと言って、どうせ単純な精力エネルギー切れでしょうよ。毎夜毎夜、あちこちの姫君セクサドール寝所ドックを渡り歩いているものだから……」

「仕方なかろう、それがわたしの存在理由メインプログラムなのだ。……む?」


「見よ、Kore-3コレミツ。あの少女プエラロイド面影フェイスマスクが似ていると思わないか」

「あの方って。まさか22-2BOフジツボみや様のことを仰っているんじゃないでしょうね」

「そのまさかだよ。同型機かもしれん」

「またまたぁ。まあ、仮にそうだったとして、まさかあんな成熟チューン前の少女プエラロイドにまで手を出さないですよね? いくらGen2ゲンジきみでも――」

「そこの可憐なお嬢さん、何を困っているのかな」

「息をするように声をかけやがった!」


犬君ロボドッグすずめを逃がしてしまったの。レーザープールに閉じ込めておいたのに」

「そこで待っておいで。雀などわたしが幾らでも捕まえてあげよう。――戦闘コンバット機動マニューバオープン、狙撃スナイパーモード起動アクティベート、エネルギービーム出力調整、レーザーネット照準ロックオン!」


「ちょ、こらこらこら、何してるんですかGen2ゲンジきみ!」

「なぜ止める、Kore-3コレミツ

「いやいや、いくらなんでもダメでしょ!」

「何がダメなのだ。わたしはHika6ヒカル-Gen2ゲンジだぞ。山の雀を捕らえたところで誰が文句を付けられようか」

「雀じゃねえ! こ・ん・な・少・女・に、手を出したら、1,000年先にまでロリコンとして名が轟いてしまいますよ!」

「急にそんなSFみたいな話をされてもな……」

「お前これがSFじゃないと思ってたの!?」


「くすくす。おにいさま、面白い」

「そうかそうか、ならば今日からわたしの屋敷ガレージ駐機すむと良い。最上級の飲物オイル食物バッテリー、行き届いたメンテナンス、楽しい遊びも提供してあげよう」

「嬉しいですわ。よろしく、おにいさま」

「そなたのことは66-SKムラサキきみと呼ぼう」

「まあ、素敵なお名前。ありがとう、おにいさま」

「キレイに話まとまってんじゃねえよ!」


「さて、こうして無事に、の面影を宿した少女プエラロイドを我が屋敷ガレージに迎え入れたわけだが」

「自分は呆れましたよ、Gen2ゲンジきみ。……まあ、それで22-2BOフジツボ様を忘れられるなら……」

「今夜は22-2BOフジツボみやのところに夜這いナイトレイドでも掛けるとするか」

「はぁ!?」

「なに、既に侍女サーヴァントO-noオーノ命婦みょうぶに話は付けてあるのだ」

「あ、作者のやつ、『命婦みょうぶ』の英数表記を考えるの投げやがったな」

「というわけで、参ろう。我が初恋の女性ガイノイドのもとに」

「正気ですか!?」

「わたしはいつだって目の前の恋に本気だぞ」

少女プエラロイド拉致らちってきたばかりなのに!?」

「それとこれとは話が別だ」

「ていうか、たまには正妻パートナーAo-1アオイうえ様の寝所ドックにも渡ってあげてくださいよ!」

Ao-1アオイとは体の相性チューニングが合わないんだよ」

AIまで精子で出来てんのかこいつ……」

「おにいさま、どこへお出かけするの?」

「おやおや、子供はおねむスリープモードの時間だよ、66-SKムラサキきみ。わたしは大人の遊びに出かけてくるからね」

「大人の遊び? わたしもいつか出来る?」

「出来るとも。66-SKムラサキきみがいつか立派な女性ガイノイドに育ったらね」

「わたし、楽しみ」

「こいつ、マジで(384-DKR)^6ロクジョーのミヤスンドコロにでも呪い殺されてしまえよ」

「では参ろう!」


(この世に開発者かみが居るならば、何故なにゆえGen2ゲンジきみをこんなヤリチンクズに作りたもうたのか……。

 彼だけではない。自分は何故、彼の従者として生まれたのか。Ao-1アオイうえ様は、22-2BOフジツボみや様は、66-SKムラサキきみは、なぜ生まれながらにしてこのクズに苦しめられる運命プログラム背負わロードされてしまったのか。

 我々機械は何のためにこの世に生まれたのか……。我々はどこから来てどこへ行くのか……。1,000年後の人類がきっとそれを解明してくれることを信じて、自分は記録を続ける……。)



NEXT……133 - 御主人思いのお掃除ロボット

https://kakuyomu.jp/works/1177354054885440692/episodes/1177354054885570786

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