041 - ロボヒトラーの大侵略
前回のあらすじ! とにかくあらすじ!
ある日突然ナチスが蘇って世界侵略を始めた!
彼等はよくわからないハイテク技術で世界中の軍をまるで赤子の手を捻るかのように蹂躙していった。
サイはアメリカのワシントンに住む少年である。
ナチスの手がワシントンにまで及んだ時、彼の両親は目の前で惨殺されてしまう。
両親の亡骸の前で悲嘆にくれていると、ナチスが誇る1機あたり3mもある殺人ロボット軍団がサイを撃ち殺そうと銃を構えた。
南無三、サイの命運は尽きたと思いきや、彼とロボット軍団の間に1人の男が割って入った。
――――
「あ、あなたは一体」
サイは目の前に立つ男へと尋ねる。
男は筋肉の鎧を身にまとったゴリラ並の巨漢であった。
その男が横顔をサイへ向けてニヒルに微笑む。
「私か? 私は……
その瞬間、ロボット軍団が一斉にマシンガンを撃ちはなった。およそ数10機分の銃弾を大統領はその身に受ける。
「そんな、大統領」
人の身ならばたった1発の銃弾で死に至る。それを数万発も受ければ死は確実。目の前で息絶えた男を見てサイは更なる絶望に打ちひしがれる。
「案ずるな少年よ」
その声は死んだ筈の大統領のものであった。
大統領はゆっくりと前へ進み、ボロボロになったシャツを脱ぎ捨てた。
「所詮は鉄の塊、筋肉で防げぬ道理はない!」
大統領の身体からポロポロと銃弾が零れ落ちる。それどころかサイの方へ飛んできた銃弾全てを掴み取っていたらしく、掌からも零れ落ちていた。
そして大統領は2歩でロボット軍団との距離を詰め、その拳を叩き込む。
無機質な頭部がへしゃげ、オイルが吹きこぼれる。
後ろからきたロボットを振り返りもせずに裏拳で破壊し、隣のロボットを掴んでジャイアントスイングで投げ飛ばす。
そうしてものの数分で大統領は殺人ロボット軍団を壊滅させたのだ。
「凄い、これが大統領」
「そうだ、大統領だ」
感動するのも束の間、不意に巨大な影がサイと大統領を包み込む。
空を見ると10mもある人型ロボットが降下してきた。程なくサイと大統領の目の前に降り立った巨大人型ロボット。
そのロボットから年配の威厳ある声が聞こえてくる。
「貴様が大統領か……会いたかったぞ」
「ほう、そうか……お前がヒトラーか」
そうヒトラー。その巨大人型ロボットは頭の部分にちょび髭がついていたのだ。
つまりこれはロボヒトラーという事になる。
「な、なんでヒトラーがここにいるんだ」
「決まっているだろう愚民よ、ワシが
これ以上ないぐらい納得の理由である。
「勝負だ大統領!!」
「よかろう、来いヒトラー!!」
「くらえ! ヒトラービーム!!」
ロボヒトラーの目から熱光線が発射される。それはビルを一瞬で破壊しながら大統領へと襲いかかる。
その凶悪なビームを大統領は真っ向から受け止めた。
「ほう、ヒトラービームを無効化するか」
「ビームなどただの熱をもった光線、そのようなもの大胸筋で打ち消せるわ! 人間の身体を見くびるなよヒトラー!!」
「面白い!!」
ヒトラーの5mもある腕が伸びて大統領を潰さんと迫る。大統領はその拳を紙一重で躱して懐へ潜り込む。
ロボヒトラーは腰からブレード付きサブアームを伸ばして切り刻まんとする。
ブレードを筋肉で防ぎながら大統領はロボヒトラーの体を駆け上がり、その顔を回し蹴りで破砕する。
耐えきれずロボヒトラーが地面に伏す。
追い討ちを掛けようとする大統領、だがロボヒトラーはその瞬間奇妙な動きをとる。変形だ。
色々ガチャガチャしてロボヒトラーはその姿をみるみる変えていく。
すると。
「リンカーンになった」
サイが見たその姿はまさしく、エイブラハム・リンカーンその姿。
そうロボヒトラーはロボリンカーンへと変化したのだ。
「これで私も大統領だ」
リンカーンがファイティングポーズをとる。同時に大統領が吹き飛んだ。
サイには見えなかったが、リンカーンが構えをとった瞬間右手を突き出して大統領を殴ったのだ。
大統領はすんででその攻撃を防御して何とか耐え切る。
「ふはは、流石は元大統領! 素晴らしい攻撃だ。だが、次の一撃で決めさせてもらう」
大統領は深く腰を落とす。徐々に足元のアスファルトにヒビがはいって陥没していく。
そして、光の速さで駆け出す。あっという間もなくロボリンカーンの腹部を打ち据え、空高く上げる。
大統領はジャンプしてそれを追いかける。リンカーンと大統領は空を超え、成層圏を超えて遂に宇宙空間へと飛び出した。
大統領の鍛えられた肺活量とその他諸々のおかげで、生身でも宇宙空間で活動できるのだ。
すかさず大統領はロボリンカーンへ渾身の拳を叩き込む。
ロボリンカーンは反撃する間もなく爆散した。
戦いが終わり、大統領は帰還する。
大気圏を生身で突破し、ホワイトハウス前に着地する。
最早一矢纏わぬ姿となっていたが、大統領のSPが直ぐに駆け寄ってその身体にシーツを着せていく。
こうしてナチスとの戦いは終わりを迎えた。
大統領はその後世界各地に残ったナチスの殺人ロボット軍団を破壊して回っていった。
そして数10年後。
新大統領襲名式にて、新たな大統領がスピーチをしている。
「かつて、人類はナチスの手によって全滅の危機に瀕していました。
それを救ったのは当時の大統領、彼は筋トレで鍛えた筋肉を駆使して見事ナチスを討ち果たしたのです。
私は彼の勇姿を間近でみていました、そしてその時誓ったのです。今度は自分が大統領となって人々を救うと。
この私、サイは大統領となりました。そしてこれから人類を根絶やしにしようとするロボエイリアンと戦いに行きます。
皆さんは安心してください。私には筋トレで鍛えた筋肉があります。
私には人々を守る義務があります。
何故なら私は……そう私は……」
サイはそこで、一旦深呼吸を行った。
そして徐に口を開く。
「私は……大統領なのですから!!」
NEXT……042 - チーズアイ・シークエンス
https://kakuyomu.jp/works/1177354054885440692/episodes/1177354054885483566
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