七十三話 乗っ取り
シュテル達がそうしていた頃、『アルティメットアーサーハウス』にて、『あの上』の四人がいた。
「ここが、偽物達が住んでた住居か。随分、良いサービスを受けただろうな」
「はい。奴らは、我々の子供では、ありません。我々の子供は、貴方様達です。そして、忠誠を誓う四人です」
シュテル達の親であったダイル達が、『その上』達四人に跪いていた。そして、『その上』の姿は、シュテル、カリーヌ、マイケル、エリーの姿と一緒の姿と声をしていた。
「それで、奴らの動きはどうだい? 父さん?」
「円海街で奴らを逮捕しようとしましたが、ルビーとアクアマリンが手助けして逃げられました。残りの千楽町にいる連中は、特にシュテルを騙る偽物が気づいて、残りの仲間と共に」
「そうなの。逃げた場所は、見当が付いているの?」
「おそらく、どこかの郊外に潜んでいると思います。奴らは、諦めの悪い連中です。どんな手を打つのかは、分かりませんが」
それを聞いた彼は、立ち上がり、外の景色を見ながら言った。
「騎士庁に潜入するに決まっている」
「騎士庁……ですか?」
「奴らは、まず、僕達が開発しているあの薬の正体が何か調べるはずだ。それが分かれば、僕達の目的が分かるはずさ」
「しかし、あそこは厳重警備がされ鉄壁の要塞。さすがに、侵入するのは」
その時、彼はダイルの胸倉を掴みドスの効いた声でこう言った。
「お前、あいつらの動きを見てないのか? あの身体能力、知能で、真相に一歩一歩近づいているのだぞ? そもそも、あんな肉体になったのは、あの薬と関係しているのだからな?」
「申し訳ありません」
ダイルがそう言うと、彼は、胸倉を離して、ソファーに座った。
「とにかくだ。僕の予想が間違いなければ、明明後日ぐらいの夜に潜入するはずだ。その際には、あの森本には、最終の実験になってもらう」
「実験ですか?」
「あぁ」
「分かりました。その日に向けて警備体制を固めます」
「よろしく頼むよ」
「それでは、失礼します」
ダイル達は、彼らに礼をして部屋から出た。
ダイル達が出たのを確認した彼らは、上半身裸になると、白い液体を上半身に注射針で注入する。
すると、シュテルとマイケルと同じ彼ら二人は、腹筋が更に割れ、胸筋が大きく発達して、さらに逞しい細マッチョ体型になった。
カリーヌとエリーと同じ彼女らは、豊満な胸が更に大きくなり、腹筋が発達してさらに美しい体になった。
「シュテル」
「あぁ。あいつらを殺して、あの『生命の泉』を手に入れ、頂点に立つ。そして、本物にシュテル・アルフォードになる!」
彼の青い瞳には、野望が満ち溢れていた。
サファイアオブプリンス サファイア @blue0103
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