第九章 禁忌
第七十二話 孤立無援
数時間後、すっかり夜になった頃、ルビーとアクアマリンに乗せられ、とある廃倉庫の前にたどり着いた。入口らしきの前には、立ち入り禁止の看板が掛けられた鎖が結ばれていた。周りは、風俗などがあるが、寂れたオーラを放つ。
カリーヌが腕時計を見ると夜の十時頃になっていた。
「あんた達、ササっと入るわよ。見られたら、まずい」
ルビーとアクアマリンが案内されながら、中へ入ると、腐敗した資材などが置かれていた。
ルビーとアクアマリンは、奥の壁の一部分を押すと、そこから地下へと通じる階段が現れ、地下へと降りた。
地下へと降りると、扉が現れて開くと、とても広い空間が現れた。そこには、とても綺麗に整理整頓されており、ふかふかのソファーなどが置かれていた。
「シュテル!」
「マイケル!」
「カリーヌ!」
「エリー!」
そこには、座って休憩しているアルフォード兄妹とルイン兄妹がいて、シュテル、マイケル、カリーヌ、エリーは、再会したことに喜んで抱き合った。
「シュテル! ……無事で良かった!」
「君こそ! ……無事で良かった」
「マイケル! 心配していたのよ!」
「心配させてごめんなさい」
「セレン、エレノア。お前らも無事で良かったな」
「えぇ。貴方達も大丈夫そうね」
「無事で何よりです」
寛二達とセレン、エレノアが互いの安否を確認し、ほっとする。もちろん、サファイア達も互いに無事で安心した。
「サファイア。あんたらも、問題なさそうね」
「貴方達もね」
「私達は、そんな簡単に死ぬはずじゃない」
互いの安否を確認した後、シュテル達は、安全なところに避難出来たので、入浴したりして体の汚れを取り除いたりして、体を休めた。
全員が入浴した後、ある人物を待っている間、遊んだり、筋トレしていた。全員ジャージを着ているが、男子だけは上半身裸のままだ。
すると、カリーヌがエレノアに質問をする。
「そう言えば、あの子は誰?」
カリーヌが指を指した方向には、エレンとミヤと一緒に遊んでいる幸樹がいた。
「あの子は、幸樹と言います。サファイアが、孤児院で引き取って育てているらしいです」
「へぇー。なんか、ミヤに似ているわね」
「確かに、似てますね」
「将来は、ミヤみたいになると思いますが」
「確かにそうね。サファイア」
「それにしても、カリーヌ。シュテルとマイケルが黒服の奴からもらった資料を俺達、全員が読んだが、とんだクズ組織だな」
寛二が、黒服から入手した資料を片手に持ちながら言った。
「まぁ、とりあえず。ソファーに座って再確認しようや」
カリーヌ、エレノア、寛二、サファイアは、資料を広げてもう一度読んでみることにした。
「こいつの計画はひどいもんだぜ。まず、サファイア達をこの姿にした羽川に接触して計画が無いか聞き出す。そして」
「例の薬の存在を聞き出した後、その薬の完成を手伝う傍ら、『生命の泉』の在りかを導き出す」
「邪魔な存在である橋本と田中を殺害し、気づかれないように羽川にサファイア達に真相を話す」
「そして、嘘の『生命の泉』を教えて、在りもしない組織のポストを用意していると甘い罠を掛けて、時間稼ぎなどなど、かなり手の込んだ計画をしてますね」
「嘘ということは、分かったか見つけるための時間稼ぎなのかしら?」
「時間稼ぎだろうな。居場所が分かれば、こんな一刻も早く行くはずだ」
「そうね」
要するにこうだ。『聖女の騎士団』の存在を知った瀬山らは、利用できないか考えて接触し、『マリアヴィーナス』の完成に協力している隙に『生命の泉』を知り、捜索。
そして、羽川、サファイア達、シュテル達に感づかれないように、捜索やポストを用意などを言ったり、お願いしたりして、『生命の泉』を見つける。つまり、龍神会の目的は、『生命の泉』を見つけて、その技術を使い龍神会が全国を支配する事だ。
「本当にふざけているね。そいつら」
「全くだ」
その時、扉の向こうから誰かの足音が聞こえてきた。シュテル以外は警戒するが、シュテルは警戒を解くよう指示する。
何者かの足音が消えると、扉が開かれる。そこにいたのは、シュテルに調査を依頼されたシュテルの
「あんたは、シュテルの!」
「お久しぶりです。シュテル様」
「あぁ、誰かに尾行されてない?」
「大丈夫です。奴らには、「家の用事」と伝えてあります」
「奴ら?」
「あの上についた連中ですよ」
「それって、僕達の四人に似た連中だね?」
「そうです。貴方方の両親や僕以外の
シュテル達は、孤立無援になっている事を改めて実感した。もうこの状況を生き抜くには、自分自身と彼の力だけである。
寛二は、彼にその上について尋ねる。
「で? そいつらは、どこにいる? いたら、捕まえて殺してやる」
「寛二様。そんな物騒な事を言わないでください。仮に行っても返り討ちどころか、殺害されます」
「ちっ!」
「それに、龍神会についてですが、どうやら五代目の瀬山が就任してから、彼らと接触したみたいです」
「何!? それは、本当か?」
「はい」
シュテルは、さらに接触した場所について尋ねる。
「その接触した場所は?」
「騎士庁の内部のようです」
「それって、『新薬実験部』がある場所じゃない」
「ルビー、それって、『マリアヴィーナス』を研究している場所?」
「そうよ」
「とりあえず、皆様。今動くのは危険です。今後については、明日になってきましょう」
「そうだな」
シュテル達は、話を一旦終えて、体をゆっくりと休んだ。
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