第6話 新メンバー

 酒場で僕たちは、店主から新しいメンバーを紹介されて自己紹介を交わした。

 三人とも、パーティが解散したらしく、僕たちが迎える形だ。

 棍棒を提げた女戦士のルガムに、短剣使いの戦士ヘイモス。もともとヘイモスとはコンビだと言う盗賊のパラゴが仲間になった。

 幸いなことに、全員が体力気力ともにバッチリだということで、早速、迷宮に向かうことになった。

 時刻的には、夕刻であり迷宮に立ち入る頃には日が沈むことになるが、どうせ迷宮の中では昼も夜も関係が無い。迷宮に夜間に立ち入ることも別段珍しいことでも無い。


 *


 二度目の迷宮はやはり薄暗い。

 前回は長時間歩き回ってようやくネズミに遭遇したのだが、今回は迷宮に入ってすぐに、最初の曲がり角を曲がったら敵に遭遇した。

 地面に這いずり背が低いが、足が無数にあることと数が四体であることが見て取れた。

 敵はこちらに気づくと、カサカサと音を立てて一斉に近づいてきた。

 一瞬のことで全員が浮き足だつ。

 前衛の戦士達が武器を引き抜き、構えを取るなか、一番最初に攻撃を行ったのは、僕だった。


 『火炎球!』


 僕の指先から発生した熱球体はまっすぐと飛び、敵の一体を包んだ。

 みごと、一体は動きを止めたが、同時に僕も戦闘力を喪失してしまったので、あとは邪魔にならないように見ているだけだ。


「オニムカデだ!」


 盗賊のパラゴが敵の判別に成功したらしく、大声で叫んだ。

 オニムカデと言えば、迷宮では比較的与しやすい相手である、と書物に書いてあった。


「毒には気を付けてください!」


 ステアが教則本の注意書きを叫ぶ。


「えい!」


 女戦士のルガムが棍棒を振り下ろすと、当たった部分が砕け、一体が真っ二つにちぎれた。

 我らがリーダーのシグも飛びかかってきたオニムカデを長剣で切り飛ばした。

 短剣使いのヘイモスは、極端に背が低い相手に相性が悪く、攻めあぐねていたが、加勢に回ったシグとルガムの協力もあり、無事に最後のオニムカデにトドメをさした。

 時間にして二分もかかっていない。

 実に速やかな勝利だった。とても、ネズミ相手に負けかけたパーティには見えない。

 しかし、それでも前衛陣の消耗は激しく、肩で息をしている。

 ダメージは負っていないが、しばらく休まないと動きが取れない。


「おい、あったぜ」


 パラゴが近くの岩陰から手招きをした。

 僕は顔をしかめてドロイを思い出した。

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