第8話 職員室

「今日は遅刻しなかったようだな八千代。」


「流石に101回目はありませんよ、先生。もしあったら、トラックの前に飛び出て、プロポーズしましょうか?」


「微妙に古いネタを…それはそうと昨日の放課後勝手に帰ったこと覚えているか?覚えていないよなぁ。だから勝手に帰ったんだもんなぁ。昼休み、職員室だ。次こそ逃しはしないぞ。」


「はぃぃ」


 睨まれてしまった。ガクガクブルブル


お説教が終わり自分の席に着くと前の席の木更津めいが話しかけてきた


「今日は遅刻しないでよかったわ。奏くんを迎えに行かせた甲斐があったわね。」


「朝、奏がうちに来たのはお前のせいか!」


「あら、折角起こしてあげようと思ったのに。人の厚意をなんだと思ってるのかしらねぇ?」


めいは微笑みながらそう言った。ただし目だけは笑っていない。俺は本能的な危機感からこれ以上余計なことを言わないよう口を閉じた。


キンコンカンコン


チャイムが鳴ると共に授業が始まる。

一時限目から数学とはついていない。うん、寝よう。俺はヒュプノスに誘われ眠りの世界へと旅立っていった。


キンコンカンコン


再びチャイムが鳴る音がし、俺は少しまどろみながら目を覚ます。あたりが物静かだったのであたりを見渡すが教室には誰もいない。


あれ?もしかして閉◯空間に閉じ込められたのか⁉︎このままだと宇宙人もどきに殺される!そして黒板を見ると体育館に来いと赤い文字で書いてあるではないか!……あぁ体育か…寝ぼけていたとはいえ恥ずかしい…

誰か起こしてくれよぉ〜俺は急いで着替えると体育館へと向かった。




昼休みになり俺は先生に呼び出されていたことを思い出し、職員室へと向かう。職員室の扉を前に俺は深呼吸をする。心臓はかつてないほどにバクバクと動き、手は固く握り締めたために手のひらに爪の跡が残るほどだ。逃げちゃだめだ、逃げちゃだめだ、逃げちゃだめだ。やっとのことで扉に手をかけ開く!


「失礼しま「八千代、来たか。」ぎゃぁぁぁぁ〜」


後ろから声を掛けられ思わず悲鳴をあげる。


「心臓に悪いので後ろから急に話しかけないでください!」


俺の抗議は華麗にスルーされ、職員室奥の談話室へと連れて行かれる。


「まぁ、かけろ」


「はっ、はい」


俺は何を言われるかわからない恐ろしさに怯えながら椅子に腰掛ける。


「話というのはだな、わかっているとは思うが遅刻の件だ。今まで注意する程度で済ませてきたが流石に100回にも及ぶとなるとなんらかの罰則を与えなければならない。」


ごくりっ


「そこでだ、お前をクラスの雑用係に任命する。しっかり励めよ。」


よっ、よかったぁ〜アバラ三本くらいは覚悟していたからな、雑用係は面倒だが文句を言って物理的に排除されるのは嫌だからなとりあえずここは引き受けたと言うことにしておこう。



「わ、分かりました。誠心誠意働かせてもらいます。」


「お前がこうもあっさりと引き受けるとはどうも引っかかるがまぁいいだろう。頼んだぞ。」


そう言って俺を職員室からの退出させた。




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家出少女と無気力な俺 三月のうさぎ @reinforce

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