第7話 奏と雫
うわぁっ!
きゃぁーー
奏と雫ちゃんの悲鳴が聞こえ、急いで中に入ると目を丸くして固まっている二人がいた。
「そ、そ、そ、颯、座敷わらしがいるよ、座敷わらしが!いつからこのアパートは妖怪アパートに変わったんだ!」
いち早く正気を取り戻したのは奏だった。これを正気を取り戻したと言えるかは微妙だがな…
俺は奏を無視して未だにフリーズしている雫ちゃんを揺さぶりながら声をかける。
「お〜い、大丈夫か?お〜い」
やっとこっちの世界に戻って来たようでハッと気がつくと顔を赤く染めブンブンと首を縦にふる。だからもげるって首…
掴んでいた腕を離すと少し名残惜しそうな顔をしていた気もしないでもないが気のせいだろう。さて、俺には今二つの選択肢がある。正直に話すか、嘘をついて誤魔化すか、奏を消して証拠を隠滅するかだ。
ちょっと待てよニック!選択肢は三つじゃないか!これは傑作だ!はっはー
雫ちゃんの前で奏を消すのは教育上あまりよろしくない。だから俺は誤魔化すことにした。
「ヘイっジョン、紹介するよ。彼女は俺の父親の父親の息子の息子の妹だ。仲良くしてやってくれよな。」
「ふむふむ、颯の父親の父親の息子の息子の妹か…確か颯の父親は一人息子で…だから…そうかっ!つまりお前の妹ってことだな!
って回りくどいわ!しかし妹がいたなんて初めて聞いたな。こんなに可愛い子を隠しておくなんてずるいぞ。」
「別に隠していたわけではない。いう機会と暇とタイミングがなかっただけだ。」
「いや、それ機会とタイミング意味被ってるから…。まぁ今の所は追求しないよ。ただ学校に遅れないようにしろよな。せっかく起こしに来たんだから。」
そういうと奏は家から出て行った。口さえ開かなければ頭のいいやつだ。多分何か察したのだろう。それをあえて追求してこなかったのはありがたいし、あいつらしい。全く、口さえ開かなければ美少女(男)なのにな…
そういえば雫ちゃんは学校をどうしてるのだろうか。ふと疑問に思い聞いてみると、どうやらここ数日の間、学校へ行っていないようだ。家に残って雫ちゃんから話を聞きないところではあるが流石にこれ以上の欠席は進級に関わるからな…
「ごめんね、雫ちゃん。一緒にいてあげたいけど学校に行かなきゃいけないんだ。」
寂しそうにこっちを見ていた雫ちゃんの頭を撫でると恥ずかしそうに、けれども嬉しそうに笑ってくれた。可愛すぎて早速学校に行きたくなりそう…
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