第6話 訪問
「あれ?颯起きているなんて珍しいねぇ。槍でも降るんじゃない?」
扉を開けると奏がいた。
チッ
俺はその姿を見た瞬間に舌打ちし、鍵を閉めチェーンをかける。
「新聞の勧誘なら間に合ってまーす。」
「そうですか。失礼しました〜。って違うわっ!酷くない⁉︎流石にこれ以上の遅刻はまずいと思って、人が善意で起こしに来て上げたのに!」
「チェンジだ!チェンジ!朝から呼びに来るのは美少女出会って、断じて美少女まがいの男ではない!それにうちにそんな善意の押し売りはいりません。セールスお断りって書いてあるでしょ?それに今は取り込んでるから帰った、帰った。」
「全く人の厚意をなんだと思ってるんだ!それにしても取り込み中ってどういうこと?颯が面倒ごとを抱えるなんて珍しい。何があるんだい?何があるんだい?」
…面倒なことになった。今頃奴は扉の向こう側で目を
はぁ、とにかく雫ちゃんを隠さないと。押入れは…あ、肌色の雑誌が多すぎる。布団の下はすぐにバレるし、風呂場はどうだ…いいな、風呂場。そこなら奴も覗き見しないだろう。
「雫ちゃん、悪いんだけど少しの間お風呂場にいてもらってもいいかな?」
雫ちゃんが頷くのを確認すると俺は雫ちゃんをお風呂場に案内し存在がばれないように隠すと、再び玄関の扉を開く。
「面倒ごとなど何もない。ただ久々に早起きしたから部屋の整理をしていたんだ。」
「はっ?颯が部屋の整理?おいおい冗談は顔だけにしろよケビン。」
「誰がケビンだ!誰が!全く失礼な奴だ。そんなに疑うなら部屋でも見てみるか?大分片付いたぞ。」
そう言いながら俺は奏を部屋の中へと
「えっ!?」
奏の息を呑む声が聞こえる。
当然だろう、あれだけ汚かった俺の部屋が半分以上片付いているんだ。驚くなというほうが難しい。
「あの颯が本気で掃除をしていただと!そうだよ、何か悪い夢でも見ているに違いない…。颯っ洗面所を借りるよ。目を覚ましたいんだ。」
「あぁ、構わな…待てッ!その扉を開くんじゃないっ!」
俺が止めるのが先か、奏が扉を開くのが先か…運命って奴はどうやら残酷らしい。幸運の女神は俺にパンチラすらしない。くそっ!なんで今時ロングスカートなんだ!ミニにしろミニに!
俺が制止する前に奏はお風呂と一体化した洗面所の扉を開く。
あぁ、俺もうしらねぇ…
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