ボクはこんなにもウツクシイのに

骸晶

「悪化」

ボクは普通の男子高校生だ。

去年の4月に普通に入学し、普通に高校のエンジョイライフを楽しんでいるはずだった。

なのに、ボクの周りからはどんどん人が消えていく。いなくなっていく。


ボクの通っている高校は県内で3つの指に入る進学校だ。ここから毎年、難関大学に数十人が合格する。その中でも現段階で、ボクは学年10位以内の成績を毎回収めている。

ボクは不細工ではない。そう自分でも思っているし、中学時代は女友達も多く、バレンタインデーは毎年、靴箱の中まで一杯になるほどの大騒ぎだった。

ボクはコミュニケーション能力も高い。自分ではそんなこと思ってもいなかったが、スピーチやプレゼンテーションでは毎回のようにお手本になったし、2年前まで付き合っていた彼女を二人きりで楽しませていた。結局別れてしまったのは遠距離になってしまったからで、話はボクから持ち出したし、彼女も理解してくれた。別れたといっても恋人で無くなっただけで、半年に1度くらいは一緒に遊ぶ。同性の友達も多く、部活のない週末は毎回、映画やカラオケなどで楽しんでいた。これも中学時代の話だが。


このように、ボクは普通の中学生だった。普通というよりは、むしろハイスペックなぐらいだと今でこそ思う。


だけど、ボクの周りからは人が離れていく。高校生活はお先真っ暗だ。

入学から一年半が経過した今は、もう話してくれる人もいない。

事の始まりは、とある男子同級生の(元)親友だったはずだ。中学のように色々話していくうちに、どんどん本音をぶつけるようになった。途中までは凄く気が合っていたが、何か見当違いな言葉をボクが発したのか、急に近づくこともないくらい仲が悪くなった。


それからどんどん事態は深刻になっていった。事の発端の親友はクラス委員も務めていたので、彼から悪い噂でも流されたのだろうか。本当に1人ずつ、ボクの周囲から身を引いていかれてしまった。


ボクはそんなにも悪いことをしたのだろうか。ボクはそんなにも近づきにくいものなのだろうか。きっと、中学時代と今で、何も変わっていないはず。それなのにどうして。


きっと何かの間違いのはず。

そう念じて毎日寝床に横たわる。

しかし、朝が来ると、冷めた現実がそこにはある。

ああ、中学の頃はあんなにも高校生活が楽しみだったのに。あの頃に戻りたい。そう思っても、何も変わらない。いや、もっともっと寂しさが増すだけだった。


「なぜ?」

その返事は来ない。


追記:今日はこちらを更新します

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ボクはこんなにもウツクシイのに 骸晶 @higure

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ