【閑話】つれづれなるままに

 最近、エッセイを書く頻度が低いのは書くネタがないからではない。あるけど書けないのである。COVIT19絡みということでお察し頂きたい。


 こんな状況で案件を稼働させようとしないで欲しいのだが、所詮彼らは出入りのシステム屋のことなど人間だと思っていないから無駄である。どんな無茶なことでも、言えばやるのが当然だと信じて疑っていない。システムというのは明確な物質として存在しないので、何をするにも「タダ」だと勘違いする人が多いのである。


 例えば新しいシステムの仕様が決まらない時に「試しに軽く作ってきてよ。それ見て決めるから」と言われることがある。これを野菜に置き換えてみよう。「新しい野菜を作りたいけど、よくわからないから試しに作ってきてよ」と言われたら誰でも怒るだろう。一から野菜を作るには手間もお金もかかる。システムだって一緒だ。そしてそう言う人たちはお金をくれない。「お試し版だからタダ」だと思っている。


 そんな感じで仕事をしていたら、なんだか心が荒んできたので「BLACK LAGOON」と「デストロ246」と「ムルシエラゴ」を読んだ。こういう時に心温まる感動ストーリーなど読んでも涙どころか舌打ちしか出ない。「極悪人が悪人を倒す」系の話が私は好きである。ピカレスクロマンというやつだ。多分。

 女の子が主人公のものが多いのは単なる趣味である。かつて直属の上司は「どうせ仕事をするのは俺なんだから部下は女で固めたほうが楽しい」と言ったが、似たようなものだ。


 「心が荒んだ時にはお料理とかお菓子作りをするとストレス解消になるよ」と先輩が言うので、例えばどういうものを作るのか尋ねてみた。最初に「餃子かなー」と返ってきたので白目を剥いた。


「餃子?」

「うん、簡単だよ。まぁ最悪、皮は市販でもいいけど」


 最悪なのか。ちょっと料理のレベルが違う気がする。

 私の「簡単」は野菜炒めで、「ちょっと凝ったもの」は麻婆豆腐だ。一年に一回くらいは「混ぜて焼くだけ」のチーズケーキを作るが、それも二回に一回は失敗する。


「もっと簡単なのが良いです」

「やらないと覚えないよ」


 私はストレス発散の方法を知りたいだけである。


「あとは編み物とかも良いよ~。よく会社で皆あみあみしてるじゃない?」

「編み物」

「やったことある?」

「ありますが、発狂したので止めました」


 私は「あむあむたまご」なる子供向け玩具で挫折したのだ。鉤編みや棒編みなんてしようものなら別のストレスが堪る。往年の市原悦子よろしく人を野原で刺し殺し「地獄への一本道だよ!」とか叫びかねない。


「裁縫は?」

「玉結び出来ないです」

「絵は?」

「下手です」

「ピアノ?」

「運指が上手くいかないです」


 そんな話をしていると、先輩は哀れみの目を私に向けた。


「じゃあ得意なものって何かあるの?」

「キーボード叩くのは早いです」

「確かにそれは早いね。じゃあキーボード叩いてたら?」


 というわけでストレス解消にこのエッセイを綴った次第である。

 割とストレス解消になるので、特技はないけどキーボード叩くのが早い人に薦めておく。


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