釣針の取得方法が衝撃的
先日のこと。
ある場所で仕事をしていたら、突然隣に座っていた人が鼻を押さえて上を向いた。
「鼻血出るかも……」
鼻血って久々に聞くな、と思いながら成り行きを見守る。
最初はティッシュを少し鼻に当てて様子を見ているようだったが、暫くすると「あ、駄目だ」と言い出した。
そんなに今日の昼飯、塩入ってたっけ? と首を傾げていると、肩を突かれてポケットティッシュを渡された。
「開けて」
「うわ、面倒くさい。わかりました」
片手で鼻を押さえているのでティッシュが開けられない可哀そうな相手のために、街頭で手に入れたであろうポケットティッシュの封印を解く。因みにパチ屋のものだった。
ティッシュを渡して暫く経つと、再び突かれた。
「何ですか」
「このティッシュ、半分に千切って」
自分でやれよ、と思ったが素直なタイプなのでティッシュを受け取る。千切ったものを渡すと、相手はそれを丸めで鼻にぶち込んだ。
「久しぶりに出たわー、鼻血」
「急にですか?」
「ほら、血圧高いから。この前引っかかったでしょ」
そういえば健康診断で引っかかってたな、と思い出す。少しは食生活を改善して欲しい。飲みに行く時に「オニスラ頼んだから血液サラサラ」とか言ってる場合じゃない。あんな少しの玉葱に何が出来るというんだ。
去年のM-1の決勝に出た某芸人を真似るなら「何も出来ないとは言い切れない。物には無限の可能性がある」というところだが、多分ない。だから玉葱で血圧下げるのは諦めて医者に行け。
数分後に、別のメンバが通りかかって、鼻にティッシュを詰め込んでいるその人を見て首を傾げつつ私を見た。やめろ。私に説明を求めるな。
「高血圧により鼻血が止まらないそうです」
「やばいじゃん」
「やばいよねー。帰っていい?」
いいわけないだろう。今日来てからやったこと思い出してみろ。メールチェックして、昼飯食いに行って、鼻血出しただけだ。それで帰れるなら私は今すぐ鼻を石で打ち砕く。ポリネシア神話に登場するマウィは魚を釣り上げるために自らの鼻を打ち、鼻血を丸めて釣針につける餌にした。休みという大物が釣れるのであれば、私も喜んで血を差し出そう。
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