【閑話】意味のない話
茹でると煮るって何が違うのか気になって仕方がないので調べてみたら、食べ物に火を通す目的なのが茹でる、調理の過程として味付けなどを行うことが煮る、らしい。ゆで卵と煮卵が別物であることを考えれば、確かに納得できる。
という話をしていたら「そんなの考えてどうするの? 何か仕事の役に立つの?」と言われたので、そいつを脳内で殴っておいた。少なくともお前より役に立ってる。いいからお前は自分で消したデータを復旧させろ。
ふと思いついたどうでもいいことを掘り下げるのは楽しい。シュレディンガーのにゃんこちゃんが鉛でコーティングされていたら、とか。
そういえば、あれは箱の中に猫とガイガーカウンターとラジウム(放射性物質)と青酸ガスを入れておくのが前提であって、箱に猫だけ入れておくものではない。割と勘違いしている人が多い気がする。だが、とりあえず猫が可哀そうなので、ラジウムとか青酸ガスは入れないであげてほしい。
先日の仕事は非常に暇だった。わざわざ日曜日に出勤したのに、作業開始時間は十八時。しかも準備万端にも関わらず、相手の都合で二十時になっても始まらなかった。
今回の仕事は特に面倒なことも難しいこともない。やることもないから、サーバコンソールを撫でまわすぐらいしか仕事がない。
暇なうえに地下で作業をしているから、ネットサーフィンすら出来ない。更に解せないのは、一緒に来た責任者が同じように気だるい表情をしていることである。貴方は何も作業してないでしょう。
でもまぁ、私がヘマをした時に代わりに怒られたり、タクシー代を払ってもらったりと、この人には大事な仕事が沢山あるので寛容に受け止める。盾になる人は大事にしなければいけないのだ。
雑談しながら時が来るのを待っていたが、気付けば既に二十二時を回っていた。することのない待ち時間は、本当に人を駄目にする。気分転換に散歩しましょー、と相手を誘って部屋を出ると、もう廊下は真っ暗だった。
暗闇の向こう側で何か機械的な音がする。耳を澄ましてみると、それは病院の中にあるコンビニの入店音だった。既に閉店した店舗から、入店音が鳴り続けている。
「何、あの音」
隣にいた人が呟いたので、私は特に考えもせずに脊椎反射で応じる。
「ファ○マの断末魔じゃないですか」
「断末魔かぁ」
曲がり角を曲がると、断末魔は聞こえなくなった。
こういう場合に、コンビニの断末魔ってなんだ、とか、死んだらどうなるんだ、とか考えてはいけない。余計に疲れるからである。
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