新元号対応

 新元号が決まった。

 これから一ヶ月の間に、各病院で使用されている元号を修正したり、五月一日に変換したりする作業を行わなければならない。

 そもそもパソコン自体は昔からあったが、それが民間に普及して、こうして気軽に使えるようになったのは平成の頃である。二十年前なんてワープロでローマ字変換が打てれば称賛されたものだ。だから、平成以降のことを考えないで作られているアプリケーションも多い。

 また、病院などでは元号がよく使われている。子供が産まれたりした時に、和暦と西暦を並べて出力したりするので、ちゃんと元号が切り替わっていないと大変なことになる。そういう事態が起こらないよう、裏で頑張る四月になりそうだ。


 どうでもいいことだが、高校生の頃に歴史の授業で、元号を西暦に変換するための覚え方、みたいなのを習った。確か「無駄な明治にいい大正、濁る昭和に半端な平成」だったと思う。それぞれの元号元年からマイナス1をした値が「1867(むだな)明治」「1911(いい)大正」「1925(にごる)昭和」「1988(はんぱ)平成」なので、例えば平成十一年なら、「88+11=99」なので、1999年だとわかる。

 令和の場合は「2018」になるから、どうなるのだろうか。いやな……、とかが妥当か。何だか可哀想である。


 今日も今日とて別件で訪れた病院で、元号を修正した。

 印刷物に「平成」と記載されている箇所を見つけて一つずつ修正する、地味な作業である。まぁ別に忙しくないから良いのだが、いつもの調子でキーボードを叩いて変換キーを押下したら、ちゃんと変換されないことに気がついた。

 そうだ。この単語はまだ誕生したばかり。言わば未知の単語なのだ。

 恐らく数日中にはATOKやIMEやらが新元号に対応してアップデートを行うだろうが、今使っている端末はイントラネット。世界には繋がっていない。どこからかアップデートツールを持ってきて適用するしかないが、それは期待出来ない。


 結局「零話」だの「例話」だの「レイ和」だの誤変換を繰り返しながら、修正を終えた。

 慣れるまで少し時間がかかりそうである。

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