【閑話】年末のご挨拶

 今年も例年と同様に年末年始は仕事のはずだった。

 なのに唐突に「作業中止」の知らせが舞い込んだために暇になった。まぁ暇と言っても仕事だけの話だ。元から「仕事だからやらない」と放置していた大掃除やら何やらが一挙に押し寄せて、いつもより少し忙しくなった。


 さて、困ったことに一般の年末年始を忘れてしまった。

 ここX年、ホテルのベッドに潜り込むか、病院の地下で万事を呪いながらキーボードを叩いているかどちらかの大晦日しかなかったせいである。

 とりあえず近くのスーパーに行ったら、物凄く混雑していて驚いた。魚のすり身が飛ぶように売れているし、酒をカゴにぎっちり詰めた客が行き交っている。何を買ったらいいかわからなくなったので、漬物を買った。漬物だけは私を裏切らない気がした。

 ついでに近くの衣料店を覗いたら「歳末セール」とか「福袋」の文字が踊っていたので、迷わず引き返した。そういえば世の中にはそんな言葉もあった。私にとっての年末年始の合言葉は「午前一時に切り替えです」ぐらいなもんである。


 兎にも角にも、せっかくの年末年始。楽しまなければ意味がない。

 どうせ年明け一発目には、開発との長い打ち合わせが待っている。だから、年末年始はだらけてしまおう。そうしよう。

 そんな決意を会社で話したら、後輩たちから凄い悲しそうな目を向けられた。なんだその目は。お前たちも同じ仕事をしてみるか。楽しいぞ。


 来年も社畜は死なない程度に頑張ります。皆様も良いお年を。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る