チーム編成

 案件によってチームは変わるが、プロマネの裁量でメンバはある程度調整できる。

 「このプロマネなら、このサブマネ」「このプロマネなら、システム担当はこの人」みたいな暗黙の了解みたいなのが出来る。

 そんな感じで私も組むプロマネが固定化されるのだが、それが大抵徹夜案件なのは勘弁して欲しい。

 勿論、成果が出てなきゃ次は呼ばれないのだから、少なくとも嫌われてはいないんだなとわかるが、それにしたって徹夜が多い。


「Aさんの案件、いっつもエグいんですけど」

「俺だって好きでやってるんじゃない」


 ごもっとも。

 このプロマネは有能だから、キツい仕事を任されることが多いのである。

 そしてその人と良く組むサブマネもいるのだが、そちらも有能。

 更にそのサブマネは「このシステム入れるなら、担当は淡島さんで」と息するように決めるから、有能達のチームの中に私みたいなのがぶち込まれる。

 多分、精神面を買われているのだと思う。


 そして有能達は次から次へと案件を任されるので、自ずと私も巻き込まれる。

 一年くらい同じメンバだったが、最後あたりは全員息も絶え絶えだった。

 やがて、組織変更によりチームが解体。

 やったー! と喜んだのも束の間、すぐにまた指名がやってきた。

 おかしいな。サブマネが別のところに配属されたから、私を指名する人なんていないはずなのに。

 そう思いながらチーム編成を見てみたら、サブマネがかつて半年ほど辛酸を舐めあった札幌支社の人だった。

 あ、そういえば何人か支社の人間来るって言ってたっけ……。


「これの担当者誰にする?」

「俺知ってるの淡島さんだけだけど」

「その人なら俺も知ってるから、いいよ」


 そんな感じで決まったらしい。やめろ。覚えるな。

 更に一年のデスマーチ。

 気付いたら、いなくなった筈の前のサブマネまでも戻ってきて、デスデスデスデスデスマーチ。

 有能枠と仕事してるから有能だと思われて、仕事はどんどん降り積もる。


 ある日ふと「このサブマネならこの人、みたいに決まりますよね?」と言ってみたら、全員揃って目を見開いたあとに、こう言った。


「言われてみれば!」


 無自覚かよ。なら尚更入れるなよ。

 私の代わりはいくらでもいるんだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る