残業理由
残業するにも理由は様々だが、別に最初から残業しようと思っているわけではない。
大抵は他社が絡んだりすると残業する羽目になる。
概論として、会社というのはある程度同じ価値観を持った人々の集まりである。少なくとも上に立つ人達の価値観がある程度固まってないと迷走する。
なので、他社というのはある意味で「最も気の合わない相手」である。何しろ優先順位が違うのだ。どちらが間違っている訳では無い。単に自らが携わるシステムを優先しているだけである。
しかし、そのために通信テストや打ち合わせなどが長引いてしまうことがある。
まぁ人間、出来ることなら自分の負荷は下げたいし、自分のペースでやりたい。
他人に合わせるのはあまり好きではない。合わせて楽しいのは、人を驚かせたりする時くらいだろう。
なにか対処しないとシステムが動かない。自分のところで対応も出来るが、相手も対応出来る。
となると、どうにかして相手に押し付けたい。自分でやるのは嫌だから。だって仕事が増えるから。
そんな訳で、ダラダラと会議は長引き、通信テストは滞る。
今日も今日とて、他社との通信テストで長引いた。相手は妙に強気な女性だった。
こちらが説明する間もなく、矢継ぎ早にテストが失敗したことを述べて、あたかもこちらだけ悪いかのように責め立ててくる。
社会人になってから切に思うが、人が何か言っている最中に「いや」だの「違う」だの言い出すのは腹が立つ。
私がシザーハンズかクトゥルフ的存在なら、すぐ様に物理反撃に出たい。
昔、将棋とクトゥルフ神話が組み合わさった「クトゥルフ将棋」というものを考えたことがある。金になる代わりに古の神になる仕様。ひっくり返るまで何になるかはわからない。出るものによってはどんなに盤面が有利でも死ぬ。
周りにはすごく不評だった。
そんなことは兎に角、声高に主張している相手は、どうやら自分達の有利に物を運びたいようだ。私が頭一つでも下げて「じゃあこちらの設定変えますんで」とか言えば丸く収まるが、夜の十時を越えると人間、優しさも眠りにつく。
あと、彼女を含めて女性SEは気が強い人が多い。そうでないとこんな仕事続かない。
勿論のこと私も気が強い。
「さっきから必要なコードが無いと言ってるけど、具体的に……」
「だからこっちが必要なコードです!」
「該当箇所が沢山あって絞り込めません。そちらにだけ送ってるわけでもな……」
「いや、送ってくれれば処理できるんですよ!」
強情だなぁ。素直に「わかりません」って言ってくれたほうがまだマシだ。それでもイラつくけど。
欠伸を噛み殺しながら、オブラートに包んだ言葉で「明日、わかるやつ連れてこい」と言って帰した。私は帰りたいんだ、邪魔をするな。
家に帰って発注処理とか締め処理とか色々やることがあるんだ。何故ならここは電波が入らなくて出来ないから。
あと家に帰って、このエッセイ書かなきゃいけないんだ。これに関しては仕事ではないけど、趣味だから仕方ない。書きたいから書く。
そして私の睡眠時間はジワジワと削られる。
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