肝試しエフェクト
病院系のお化け屋敷に行った時の話。
お化け屋敷のコンセプトとして多いのは、病院とか廃墟だと思う。昨今、墓場は流行らない。今時はビルの中にお墓がある人も多いのだという。
絶叫最恐! と謳われたお化け屋敷に友達と乗り込んだのは、久々の有休の日だった。
来る途中で電車が人身事故で止まったり、ギリギリで乗り込んだ高速バスが大渋滞に嵌ったり、並んだアトラクションが機材故障で閉鎖されたりと色々あったが、特に関係ないので割愛する。良い厄払いスポットを誰か知りませんか。
そのお化け屋敷は、素敵な外観をしていた。廃病院なのである。
朽ち果てた外壁、割れた硝子、謎の鉄条網。一家に一つ、こういうコンセプトのドールハウスがあれば良いと思う。血に飢えた殺人鬼人形を持って訪問し「よろしければ、お宅の廃病院にどうぞ」と交流を深めるのだ。これを書いている現在、とても眠いので何か間違っているかもしれないが、まぁそのぐらい良い建物だった。
友達とウキウキ乗り込み、暗い中を進んでいく。血のついた骨が積み上げられて、そこに謎のボロ布が絡みついている。ヂカヂカと点滅する照明の下で、ボロボロのベッドと割れた薬瓶が仲良く寄り添っている。
凝っているものはなんでも楽しい。ついつい細部まで見てしまう。
しかしある一角で、私は足を止めた。ボロカーテンの向こう側で苦悶の表情を浮かべるマネキン、もとい死体。そしてその傍にある機械からコードが伸びて、死体の腕に絡みついている。
これは……S社の超音波装置!
接続テストで何度辛酸をなめさせられたかわからない。とにかく繋がらない、画像が出ない、正しい解像度にならない。
まさかこんなところで……。というか超音波装置に殺されたのか。なんて恐ろしい。きっと肋間走査とかされて殺されたんだろう。すぐ後ろにL社のCT装置の
この死体はきっと来週の私だ。二つの装置のテストを控えている私に対して突きつけられた未来像である。二つの装置に弄ばれ、苛まされた私は、こんな風に命を散らすんだろう。
そんなことを鬱々考えていたら、友達に置いて行かれそうになった。
お化け屋敷は楽しかったので、今度は別のところに行こうと思っている。
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