凍えそうな季節に煙

 凄く当たり前のことを言う。冬の北海道は寒い。特に旭川。

 マイナス10度とか、埼玉の田舎町で育った人間には耐えられない。

 耐えられないけど、煙草は吸わないといけない。これがニコチン中毒である。


 雪中行軍、白雪掻き分け、そういえばこのスーツは春秋用だった、なんて思いながら病院の敷地より外に出る。

 大概の病院は禁煙だ。偶に喫煙所あるところもあるけど、凄く稀。

 凍えそうになりながら煙草に火を……つかなーい!  指が動かなーい!

 チャイルドロック仕様になってから数年。まさかこんなところで悩まされるとは思わなかった。凍えた指先で何度ライターを操作しても、火は出ない。私の親指の皮を爽やかに奪っていくだけである。

 仕方ないので、上司の吸ってる煙草から貰い火した。何が悲しくて、厳ついオッサンとシガーキスせにゃならんのだ。これがニコチン中毒の怖さである。


 以後、ターボライターを採用することにした。

 加熱式は別に興味ない。

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