人間嫌いな少年が夏の日に、田舎で出会った幽霊のお姉さん。それから夏が来るたびに二人は会って言葉を交わし、それは少年に変化をもたらしていく。これは恋物語であるのと同時に少年の成長の物語。幽霊のお姉さんに背中を押されて、少しずつ周りに目を向けるようになる。しかし意図せず彼女の過去を知ってしまったことで、二人の関係にも変化が訪れます。彼女はどうして亡くなって幽霊になったのか、そんな彼女に恋をした少年の想いの行く先は?夏の切なくも心に残るお話です。
毎年夏に帰省する画家を目指す少年。唯一の楽しみであった秘密基地での天体観測。中学2年生の夏、彼はいつものように秘密基地へ向かうと下手くそな鼻歌が聞こえる。そこで出会ったどこか大人な雰囲気の幽霊。その幽霊と過ごし人間嫌いの少年は少しずつ成長してゆく・・・。幽霊の言葉がとても深く、考えさせられました。終盤は序盤で出てきた何気ない設定が生きてきて、切なさのあとには暖かさが残り、なんとも言えない満足感。きっと読んで後悔しない素敵な短編でした。
いじめを受け、人を嫌い、絵ばかり描くようになった少年。そんな彼は、帰省したある夏の日に、秘密基地で少女の幽霊と出会う。少年は彼女と交流しながら、少しずつ成長していく……筋は単純ですが、とても奥の深い短編です。少年の自然への執着や幽霊の持っている紅茶など、細かい設定がどれも終盤に光ってきます。読み終えて絶対に後悔しない、素晴らしい読後感の作品です!