第3話 郷愁の地で追憶を見る
(せせらぎの音)
頬に冷たさを感じる。次に固い感触。アスファルトの上で寝ていたようだ。月明かりに照らされて見えた景色は畑ばかり。
「えっ?なんで? 部屋を出て…えぇ!? 」
ひとしきり取り乱し、落ち着いた所であることに気づく。ここがどこか"知っている"のだ。
「確かここをまっすぐ行くと…」
しばらく歩くと、少しずつ増えていく建造物、家、人の営み。そうだ。かつて俺は、ここで暮らしていた。そうだ!俺はここで暮らしていたのだ!だが、何故……。
(祭り囃子の音)
商店街では町祭りをしていた。夜店が出す料理や、くじ引きなどの単純な遊びに興じる子供がいる。
「久しぶりだな……。あ、あそこのおばちゃん、全然変わってない。うん?ええっ!?…ねぇ!君、ちょっと!」
すれ違った高校生くらいの少年を呼び止める。だが、俺の声は届かなかったようで、少年の姿が遠くなる。
「あの子……俺だろ? なんで?」
少年の背中に誘われるように、彼の後ろを追っていく。
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