ロロ、とは、主人公がプレーするゲームの中で
少年がドラゴンを呼ぶときに発する言葉だった。
「おいで」という意味なのかドラゴンの名なのか、
そのゲームは多くを説明しないから、わからない。
主人公は海辺で銀色の卵を拾い、孵化を待った。
理由もなく、彼にはそれが卵であるとわかった。
数日して、卵から小さなドラゴンが生まれ出た。
ゲームの中のドラゴンとよく似た姿をしていた。
次第に語られていく、大切な友人を巡る思い出、
彼がこの海辺の町に住む理由、待ち続ける思い。
友人に何が起こったのか、それが彼の幸せなのか、
謎めいたエッセンスは最後まで説明されないが。
寂しさに胸を締め付けられるような読後感。
静かでふしぎで、美しい作品でした。