廃病院を作ろう!

@hooozicha

廃病院を作ろう!

私は虻田。


男であるのに『私』と自分のことを呼ぶのは、それなりの地位にいるからだ。

大手のネット広告会社の重役。

その肩書だったが、なぜか先日クビを言い渡された。


現在は会社のHP上の写真には掲載されているが、名前は出されていない。

なぜそうなっているのか、私にはわからない。



今は時間を持て余しているので、自宅である高級マンションでゆったりと過ごしている。


--ように見せかけている。



実際にやっていることは、ゲームの実況動画のアップ。

それを餌に、かわいい女の子や男の子を誘い出し、食している。


私は食人鬼なのだ。



手口はこうだ。


まず、動画にサブリミナル効果を混ぜ、夢の中に私が登場するように相手を仕込む。

夢の中での犯罪なら罪にならないはずだ。

私はやはり天才だ。


ラッキーなことに、ある広告関連の、自称・小説家の女性も私に助言してくれた。

彼女は音声催眠術を使うことができる。

チューニングがうまい。

催眠術も刑法には引っかからないはずだろう。


音声催眠と私の動画。

これらを駆使して、今日も女の子を自分のオフィスの会議室に呼び込み、

大勢の人間の前で食した。

楽しかった。



また明日もかわいい子どもを食べたい。

ひっかかっているバカなやつはいないか。



私には複数のつぶやきアカウントがある。

動画サイトもいくつか持っている。

私がいなくなれば、動画サイトは破産だろう。



「よし、見つけた」


女の子がひっかかっている。

私はそれを確認すると、趣味の動画を視聴し、まったりとした時間を過ごした。



翌日。


私は眠い目をこすりながら、病院に向かっていた。

動画を見ながら眠ったら、風邪を引いてしまったようだ。



「虻田さん、どうぞ」



名前を呼ばれて、私は診察室へ入った。


しかし、いつまで経っても医者は来ない。

看護師の姿もない。



イスに座ったまま、辺りを見回す。

おかしい。

一度部屋から出よう。



しかし、鍵がかかっている。

出口を探したが、ない。



私が焦っていると、屈強な男たちが入って来た。

その中で一人だけ、黒いマントを羽織った細身の男がいる。

……何者だ?



「やあ、君が虻田くんだね。ここへ来るのを待っていたよ」


「お前は誰だ!」


「さぁ? でも、君はずいぶんとボクの世界でひどいことをしたらしいね。

それ相応の代償は払ってもらう」



彼がそう言うと、私は男たちに身体を押さえつけられた。


「っ!!」


「あっは、ざんねーん。これから君は、食べた子どもたちと同じ目にあってもらうからね」



「何のことだ!!」


「わからないかなぁ? 君、食われるよ」



男たちは自分の服を脱ぎ始める。


俺は急所を紐で縛られた。


「これ、腐るかもね。腐ったら切り取ってあげる。

化膿したら身体に雑菌が入って生き延びれないでしょ?

長生きしてくれないと困るんだ。

せめて100までね」



「えっ……どういう意味だ?」



「今日から1年に1本、指を切断していく。爪は、1ヵ月に1枚だ。

それ以外は、男たちの慰み物になってもらおうねぇ?」



私は口を塞がれると、激痛を感じた。







--この病院は現在、廃病院となっている。

医師は億万長者だ。



参照:有斐閣判例六法professional 公法

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