第30.1話 序章おまけ1


 ある日のお風呂タイム。

 まだミレルが独りでお風呂に入るのが怖いと言うので、僕は風呂部屋の外壁に背を預けてミレルと話をしていた。


「ところでボーグ、ちょっと聞いて良い?」


「どうしたの?」


「ボーグは、わたしを好みの容姿にしたんだよね?」


 ミレルの質問に僕はイヤな予感を覚えた。

 こんな質問をされるときは、いつも通りの勘違いが何かある気がする……


「そうだね、ミレルが言ったからそうしたつもりだけどイヤだったかな?」


「ボーグは……? 胸の小さくって、あんまりくびれのない女の子が好きなの? なんだかちょっと若くなった気もするし……」


 え?

 ど、どういうことだ?


「もしかして、子供が好きなの?」


 ロリコンじゃないよ!?

 もちろんペドでもないよ!!


「記憶が無くなる前は、メリハリのハッキリした女の子ばかり狙ってたと思ったのに……」


 ああ、ミレルさんの勘違いが進んでいく……

 これは言い訳した方が良いのか?

 性格が変わったことを強調した方が良いのか?

 しかし、ロリコン認定はされたくない!

 早急に折衷案的な答えをせねば!


「別にそういうわけじゃないんだけど……ミレルのバランスとしては、そっちの方がキレイになると思って……」


 良し!

 これなら、ミレルの所為にするわけでもなく、相手を尊重する新しい『こいつ』になったはずだ。


 しかし、返答がなく、しばらく水音だけかぱちゃぱちゃと響いた。


 ああ、浴室の鏡で自分の身体を確認しているのか。


「まあ、ボーグが好きならどっちでも……」


 ごぼごぼとミレルが頭までお湯に沈んでいく音がする。


 これは恥ずかしくなった時の反応だ!

 顔を赤くして沈んでいく姿が目に浮かぶ。

 可愛い奥さんだなー


 うん、ミレルが満足したなら別にどう思われても良いか……


 今日も平和に僕たちの夜は更けていくのであった。

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