生還した……!

【前回までのあらすじ】

 昨日の続きである。

 幽冥牢ゆめろうなりにまずい、と思ってはいたが、遂にトイレットロールを使い切ってしまった。

 説明すると、我が家において『ティッシュ』というのは全てトイレットロールを指している。統一すれば、トイレで困る事はないし、

『バカな、何かを拭き取ったら丸々ひとつ使い切ってしまった、だと……!?』

という場合に、トイレに流せて便利だからである(勿論、流して詰まる様なものは流さない)。

 という訳で、

『これじゃあお鼻も噛めないし、おトイレにも行けねぇじゃねぇかジョー〇ターさんよォーッ!』

という有り様に至ってしまった。

 電車賃はもうないという計算で考えていたが、よくよく考えれば、口座に数百円が残されていたはずだ。それを駆使すれば、何かを売る為の、行きの電車賃はまかなえる。

 数分後、一本電球が切れているその明かりの下で、

『いつか絶対に買い直すからな……!』

と、そこそこの値段が付きやすい成年コミックをまずは選別し、今回売る事に決まった本達に別れを告げる住人の姿があった。


 勿論本日の食事は例の炊き込みご飯に水だけなので、調子はあまりよろしくない。しかし、トイレに入れないという緊急事態は何としても解決しなければならない。

 日が落ちる時間でそこそこ涼しいのが幸いした。ともすれば、別に売りたい訳ではない本を売らねばならない苦痛と悲しみから

『オオアオ』

と、某バーチャルライ〇ーさんのうめき声が出てしまいそうになるのを堪えつつ、一路お店へ。

 私の選択肢には、こういう場合は某系列とは異なるあの系列しかない。あそこほどきちんと査定してくれる所は他にない。ヒントは『〇ん〇ら〇』である。悪い事は言わないから、本当に大事な本だったのなら、そこへ行くべきである。在庫とにらめっこしつつも、きちんと査定して、そこそこ、時にはびっくりする様なお値段を付けてもくれる。

 その関係から

『今は在庫が多くてこちらはお値段が付かないものになります』

ときちんと教えてくれるし、そうでなくとも、少なくともまともに扱っていた品物であるのなら、買い叩かれてうなだれながら店を後にする様な事はない。

 え?

『買い叩くお店ってどこですかぁ?www教えて下さーいwwwンンwww』

だって? 騙されんぞこ の エッ チ め 誰が言うかこの(教育的配慮から割愛)。




 という事で、大ピンチをどうにか切り抜け、食材も少々手に入れた。これで、ツナ入りの炊き込みご飯が作れる。

 お金の入る日まで食い繋げるだろう。

 良かっ、た……(ガクリ)。

 

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