最終章

祝!17600PV突破! 最終話 永遠の電脳世界

 私はそこで本を閉じた。


 場所は書斎。様々なジャンルの本が所狭しと並んでいる。


 執事が入り口を開ける。


「旦那様。ここにいらっしゃいましたか」


 執事が入り口から声をかける。


「だいぶ没頭されていたようですな」


 私は苦笑しながら答える。


「懐かしい本を見つけてね」


 執事は片眼鏡を上げる。


「何の本かお聞きしても?」


 私は顎に手をやる。


「若き日の冒険日誌だよ」


「冒険・・・ですか。私も若い頃は色々無茶をしたものです。旦那様の若き日の無茶ぶりも見てみたいですな」


「私ももう初老だからね。若き日のほど無茶を出来たら、とちょくちょく思うよ」


 男は本を置き、


「で、なんの用だい?」


「そうでした。もう食事の時間なので食堂までおいで下さい」


「わかった」


 執事は扉を閉じる。


 男はため息をつく。


 すると背後から光が差す。


 振り返ると、光の扉が現れていた。


「響ー!大変大変!!」


 響は笑顔を向ける。


「何が大変なんだ?ルナ」


「あなたが作った王国にゲス徒が大挙して押し寄せてきたの!手を貸して!」


 響は苦笑する。


「やれやれ、唐突で強引なのは変わらないな」


 そして見た目も変わらない。あの頃のままだ。


「もう!そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!早く行くわよ!」


 俺は両手を上げ、


「おいおい、俺をよく見ろよ。もう初老のじいさんだぜ」


 ルナは笑顔を向け、


「大丈夫。そんなこともあろうかと、創世開発機構に無理を言って、響のために『若返り設定』の項目作ってもらったから。ゆりかごから墓場まで、変幻自在よ」


「やれやれ。仕方ないなぁ」


 響はメモにすらすらと文章を書き、机の上に置く。


「じゃあ行くか」


「うん!」


 二人は光の扉に吸い込まれていく。


 しばらくして。


 ガチャ


 執事が扉を開ける。


「旦那様?」


 執事は机の上のメモに目を通す。


『夕飯はいらない。金庫の中に、私がいなくなった場合の指示書が入ってるので後を頼む』



 執事は机の上の本をみやる。


 タイトルにはこう書いてあった。


『電脳世界の妄想譚』

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電脳世界の妄想譚 あらうさ( ´Å`) @arausa

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