貴女は私を産み私を殺した

@Ayt

第1話 選ぶ?

「赤ちゃんは貴女を選んできてくれたのよ。」


本当にそうだろうか?


望まれて生れてくる子はいったい何割なのだろうか?


望まれず生れてきた事を知っている子は本当に母親を選んだのだろうか?


日々ニュースに出る虐待に胸を痛める人も多いと思う。


不妊治療中の女性なら怒りや悲しみが込み上げるだろうし、虐待を受けた人ならなんとも言葉に表すことが出来ない気持ちやフラッシュバックに襲われる。


同じ年齢の子を持つ母なら「誰かが支えてあげたり育児を手伝ってあげていれば...。話を聞いてあげていれば...。」


と思うこともあるのでしょう。


最悪の場合のみがニュースになる。


最悪の場合じゃない子でも誰も助けてくれなくて苦しんでいる子は今もきっと沢山いる。


虐待と一括りにしても内容は様々。


殴る、蹴る、タバコを押し付ける、言葉での暴力、育児放棄、性的暴力など。


身体の傷は後に消えたり薄れても心の傷の完治はあるのだろうか?


少なくとも私は未だに終わりの見えない葛藤と消えない傷に苦しんでいる。


母は私に「誕生日おめでとう。」という言葉を何回言ってくれただろうか?


私は自ら母を選んだとは思えない。


もしも選んだのなら何故あの女なのか過去の自分に聞いてみたい。


そうしたら許せるのかもしれないし憎んでいる側も正直しんどい。


夫や彼氏からの暴力と違うのは血縁関係があるということで自分にもその血が流れているという残酷な現実だ。


「産んでくれたから。」


「育ててくれたから。」


「だからねお母さんには感謝しないといけないんだよ。」


いつの頃からだろう?そう自分に言い聞かせてきたのは。


大人になれば許せると思っていた。


でも違った。


月日が流れれば流れるほど憎しみは募るばかりでそんな自分自身にも嫌悪感を抱く。


母を愛していた頃の私には虐待をされているという認識すら無かった。


母と子は時に教祖と信者に近い関係なんじゃないだろうか。


母にとって私は母が女として幸せでいるための道具に過ぎなかったのだ。


十月十日を共に過ごし辛く苦しい陣痛と命懸けのお産に耐えたからといって誰にでも母性が生まれるわけではないらしい。




















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