012_タイムリープネタが流行る理由を軽く考えてみた

 タイムリープネタを知っているだろうか?


 一つの時間軸を進む中で、予期せぬ結果に行き着いた時、一定量の時間を遡り、問題点に対して改善した行動を取り、結果を良いものへと変化させる系のストーリーのことを指す。


 まあ簡単に言えば、ヒロイン死ぬから時間戻って死なないように行動をやり直す系のやつ。

 少なくとも日本ではそういう認識のジャンルだ。


 この系列の作品というのは、規模は小さいながら、昔も今も変わらずにウケが良いコンテンツとして定着している。

 まあ五年に一作品はなんか出て盛り上がっているのではと感じている。

 ドラマなりゲームなりアニメなり――


 満腹に至るまでとは言わずとも、新しい要素があるようならば、ぜひ見てみたいというような温度感。

 一本本気で力を注げば、一定量の結果が出るジャンルだ。


 ちなみにどうしてこのニッチなジャンルが人気があるのか気になったので、考えた上でまとめてみた。

 結構淡々と、しかもダークにまとめていますので、予めご了承ください。


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(1つ目の理由)

 『改善結果を見ることに強い満足を感じる』

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 リアルなライフスタイルですと、当たり前ですが毎日の行動自体を遡って改善することなどできません。

 みなさんも、日常の中でこうすればよかったなぁ……

 みたいなイベントに出くわしたことありませんか?


 誰かに何かものを言う時に、言い方を間違えちゃったかなぁ……とか、

 電車に乗り遅れて遅刻しちゃったなぁ……とか、

 大きく出るなら、あの時彼女の告白していればなぁ……とか。


 気にしない人は全く気にしないでしょうが、日常生活の中で間違ってしまった行動を少なからず気にしてしまう人というのは一定量存在するものです。

 こんな行動をしていたら結果は違っていたのかなぁ……と。


 多分、タイムリープネタというのは、そういう人に非常に刺さる作品なのではというのが大前提にあると思っています。


 タイムリープネタの流れの王道は、基本は普通に時間経過させて、失敗パターンを見せるというのが最初の流れで、次にタイムリープで改善行動を図り、失敗パターンを回避するというのが基本形です。

 様々な選択肢がある中で、失敗パターンとは違う選択肢を選ぶことで、違う展開が繰り広げられていく。

 1つのイベント自体を最良の結果で終わらせることが出来るというのがベースとなります。


 たとえ失敗したとしても、どうせ流れ的には次は当たりのパターンを通過させることが前提のものなので、失敗を恐れず成功という安心結果を見届けることが出来るという点で、愛好者たちに好かれやすいのでは感じています。


・失敗してもやり直せる

・成功パターンがある

・物語の違う流れを見ることが出来る


 リアルな生活の場合、失敗したなぁ……という結果になった際に、時間を遡って最良の結果にし直すことはできません。

 失敗したら失敗のままで、それが事実となって本人の歴史となるのです。

 少しむず痒さを感じつつも、その事実を受け入れなくてはいけません。


 ただ、せめて創作の世界の中だけでは……というところから、失敗→改善というフローを見られ、結果的に最良の生き方を見られるという点で、脳内に気持ちよさを感じているのではないかと感じています。


 行動改善をして結果が良くなるというシンプルな構造は、わかりやすくて見ている人にとっても納得の行く結果として見えるでしょう。

 会社や学校で努力しても結果が出ないとか少しでも感じてしまっている人にとって、理屈の通る話というのは特に渇望されていることかと思います。


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(2つ目の理由)

 『1つの時間軸で様々な可能性を見ることが出来る』

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 例えば、道を歩いて3本の道があった際、1つ目を行ったら交通事故に遭い、2つ目の道を行ったら可愛い女の子と出会い、3つ目を行ったら異世界に行くみたいな設定があるとします。


 リアルな生活な場合、1つの結果だけしか見ることはできません。

 それが事実となり、他の2つは自分の人生に関わることのない事象として切り離されます。


 ただし、創作の世界の場合はすべてを見ることができます。

 映画とかですと全部は見せないでしょうが、分岐系のノベルゲーなら全てを見尽くすことは可能です。


 自分という存在が、その場、その時間、その時の行動で、どんな可能性が生まれるのか――

 もしも全てを見尽くすことが出来るのであれば、多分それはすごい興味となるのではないでしょうか。


 特に、あれもこれもと欲望が強い人にとっては、全てをやり尽くして回収しきれる事自体、とても満足の行く行動につながることかと思います。

 自分は、こう選択すれば、こんなあらゆる可能性があるのか――と。


 特に大人になると、人生の分岐があったとしても、ある程度今までと似たような結果になるような選択肢を無意識に選んでしまう人が多いです。

 何かあった際のデメリットを恐れている為です。


 タイムリープネタというのは、そういう自らが選ばないような行動選択すら見ることができますので、創作の世界というノーリスクな環境で、勇気ある行動と結果を楽しむことが出来るのです。


 まあ、いわゆる自分の代わりのピエロというやつですね。

 危険な行動をしてもらえるマリオネット。


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(3つ目の理由)

 『普段できないような奇行をして無かったことに出来るワクワク』

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 タイムリープの特徴は、やり直せるというもの。

 時間が戻ってしまえば、今回の行動というのは全てが無かったことになります。


 つまり、無かったことにする前提であるならば、その間の行動でどんな奇行的行動を取ったとしても、完全無効化出来るのです。

 ヒロインを助けるために電車が迫る線路に飛び出したり、殺した方が良いのか微妙な敵を試しに殺してみたり、人が多い中で恥ずかしげもなく大声を出したり。


 どうせ無かったことにするという選択肢があるんだし、なにやってもいいっしょという考え方ですね。


 リアルな生活では奇行な行動をしてしまうと色々と形として残ってしまいますので、なかなか出来るものではありません。

 無かったことにできるという安心感は、時に人に強い勇気を与え、出来なかったことが出来るという枷を壊す快感を与えることになります。

 あらゆる大胆な行動に人はワクワクを感じるものです。


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(4つ目の理由)

 『失敗を残さない』

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 ※3つ目と類似していますが別扱い。


 日本では特に、ありとあらゆる失敗を蔑む傾向があります。

 大きな失敗から小さな失敗まで。


 失敗という失敗を恐れてしまうあまりに、行動に制限をかけている人も多くいるでしょう。

 それは結果的にチャレンジする機会を失っていることになります。


 タイムリープの場合、失敗してもゲームなら何度も何度もやり直して成功まで調整することができます。

 映画でも、失敗すればもう1度戻れば……という精神で話を進めています。


 リアルな生活が、失敗しても良いという環境であるならば良いんですけどね。

 世間は上辺の完璧を求めるのが普通と感じてしまっているようです。

 息苦しい。


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(5つ目の理由)

『自分だけが行える特別な才能に独占欲を感じる』

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 まあ、どの作品にも何かしら存在する主人公恩恵ってやつです。

 自分だけが特別な力を持っていて、それを他人が知らない。

 または知った瞬間に驚いて、すげーと持ち上げる人がいる。


 特別な力を持っていて、それを知らせずにいる状況というのを独占的に喜ぶというのは誰でも感じることかと思います。

 時間を遡る力というのは、特に価値観が高いということなのでしょう。

 しかも、普通の人間が特別な力を得るという点に親近感を湧かせやすいでしょうし、作品を終えた後に自分を自己投影して色々と妄想できるでしょうし。


 まあ、異世界と近い特別な力と親近性という点でしょうね。


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 さて、こんな感じてまとめてみました。

 個人的には、見る人の分析をするとこうなんじゃないかなって思っています。


 ・失敗できる安心感

 ・行動をなかった事に出来る保証

 ・1つの時間軸で様々な人生の可能性を見いだせる

 ・失敗→成功という改善を両方体験できる

 ・身近な才能を独占的に獲得できている描写への親近感


 まあ、冷静につらづらと書いてしまうのも、なんだか冷めてしまう話ではありますが、なにか異世界っぽい雰囲気を感じてみたので紐解いてみました。


 では、今日はここまで……

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