005_小説はグッズ展開等を想定できる作品が活きる
出版社がウェブ小説を書籍化する背景には、大きな野望がある。
それは、書籍から人気を出し、それを元にアニメ化、アニメを元にグッズ化という展開をさせることで、コンテンツ自体の収入源としての価値を生み出すということだ。
書籍が数十万部と売れれば出版社にとっては御の字ではあるが、そんな作品が何作も生まれ続けるかとどうかでいえば、正直絶対とは言えないだろう。
本がたくさん出版されている時代なので、必ずしも集中してプロモーションを打っても本が売れるかかどうかは運である。
出版社的には、そんな運にかけ続けた経営をするというのは、正直体力的にツライところがあるだろう。
だから安定した収入源となるコンテンツを探しているのだ。
書籍が人気出ればアンソロジーという派生の本を出すことが出来るし、キャラクターを元に様々なコラボレーションをすることも可能だ。
グッズの制作もたくさん依頼が来るだろうし、アニメ化すれば声優さんを起用することになるので、アニメが開始〜そして終了しても、永遠に声優さんブランドを背負ってコンテンツを宣伝し続けることが出来る。
CDも売り出すことも出来るので、レコード会社とも仲良くすることも出来るだろうし、海外展開となればさらなる市場開拓に期待が持てる。
……まあ、海外展開とかは、非〜〜〜常にうまく行けばの話だが。
コンテンツ自体に人気が出れば、少なくとも数年間はそれを掲げて飯を食いつないでいくことが出来る。
最近は大きく売れた作品を数年越しで運用していく形態がメジャーなようなので、出版社的にも慎重に動いているのが分かる。
だから一つ一つを敏感に分析した上で、アニメ化などの行動に移している。
------
さて、ここからはクリエイター側の視点になるが、皆さんは上記の出版社の目論見に沿うようなコンテンツ作りをしているだろうか?
いや、別に儲けのためにキチンと動いているかどうかというわけではなくて、コンテンツが長く愛されるような仕組みを前提とした作品作りをしているのかどうかというところを、是非問いたい。
ウェブ小説を見る限りだと、ある程度フラッシュ案で内容を書き始めている人が結構目立つ。(※フラッシュ案=パッと思いついたものを文章にする)
こんな展開なら面白いよなっていう一部のシーンを強調して執筆し、それを王道パターンの流れに沿って展開させるやつ。
キャラクターとかも用意していると思うけど、もしそれがフィギュア化したときのことを考えているだろうか?
別にフィギュア化前提で考えなきゃいけないっていうわけではないが、出版社的にはそういう取扱がし易いコンテンツの方が、ぜひ出版化したいという意欲にはつながりやすいと思う。
こっちは本を書いてやる、相手は本を売ってやる。
こっちは個人で、相手は企業。
規模は違えど、互いに利害関係が一致することで初めて本が出版される条件が整う。
こちらの要望だけを投げつけてしまうだけでは、どうしても出版社にとって旨味が生まれないので、推したいという気持ちが強くならないと思う。
少なくとも、こちらが出す作品はこんな展開でこんな風に売り出せば数年間は利益になるのではなかろうかというのを、むしろこちらから提案してあげるくらいのほうが、出版社的には旨味を見せてあげられるのではなかろうか。
ただ、リードは出版社が率先して取りたいだろうから、ずかずかと足を踏み入れて提案をしまくるというのは逆に煙たい存在になってしまう。
そういうことを理解しつつ、リードを譲るみたいなオトナな対応ができたほうが、こいつはわかっているやつという風に見てもらえるだろう。
本が売れれば、後は自分の名前が大きく売れるので、自由に動きたいのであれば、その後にたっぷりと動けばいいだろう。
売上は正義で、売れれば多少はワガママが利くので、自分の書きたい作品へと少しずつシフトさせるというのも一つの作戦だ。
少なくとも、まずは本を出し名前を売るというスタートラインに立つことこそが、ある意味重要なことなのかもしれない。
書きたい本があるというならば、少し堪えて、売れる本を書いてみるという選択肢も、一つの手だと思う。
書きたいものを書くというのは、ある意味戦略が必要なことのようだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます