002_作品じゃなくて作者ブランドで売れる時代

 本が面白いから売れるのかと言われると、周知がなければ決して売れない。

 周知され、面白いと評価されることで、更に加熱し売上になる。


 例えば芸能人が芥川賞を取ったといえば、内容にかかわらず話題性に乗っかって買う人はたくさん出てくる。

 流れに乗じて高評価を下す人もいるだろう。

 完全に無名の人が同じものを書いても、同じような人気にはならない。


 面白い云々より、話題性で売れるほうが強いだろう。

 本の売上なんて、意外とそんなものだ。

 ある意味ちょろいし、真面目にやるのが馬鹿らしく見える。


 作者というのはブランド名だ。

 どんな作品を書こうとも、この先生が書いたというだけで一定の支持を得ることが出来る。


 だから出版社的にはブランドとなりうる先生を安く見つけたいわけだ。

 自分たちの会社の売上の種となる素材となるからだ。

 面白い本を見るけるよりも、ブランド先生がなんか書けば売れるので、低コストでハイリターンは割と望めるだろう。


 もはや、タレントさんを探して育成しているのと変わりない。

 顔を出す代わりに名前と作品を出す。


 タレントさんを同じということは、努力しても必ず努力が実るというわけではないし、偶然成就してしまうこともあってしまうわけだ。

 運という名の理不尽な戦い。


 出版社的には、どうとも戦いにくい状況だ。

 そんな戦いに、クリエイターは巻き込まれているというわけだ。


 読者的には様々な人を支持するエネルギーは持ち合わせていない。

 長く一つのものを愛し続けて楽しみ続ける人のが圧倒的だ。


 そんな熟成した味の良いクリエイターというのは、果たして予算をかけずに育成し、見つけられることは出来るのだろうか?


 クリエイター、編集担当者ともに、動きにくい時代が続くだろう。

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