あとがき

第二章を終えて

ドラゴンの介護福祉士をお読み頂き、ありがとうございます。

いかがでしたでしょうか。



さて、第二部では高齢者と若者のすれ違いや、病気、そして、アキマサじじを迎えての「終活・看取り」について触れて来ました。なかなか繊細な題材だけに、読まれている方も、色々感じた部分があったのではないでしょうか。


最初に申し上げて置きますが、私は本作を通じて「何が介護の理想たるか」を強要しようなどとは考えていません。本作かそれに準じているとも言いませんし、人それぞれだと思いますし、それが本来の姿であると思います。




私が今回お伝えしたい事は一つです。



後悔をしないで下さい。



それだけです。




話を紐解いていきます。



出会いがあれば同じだけ別れがあります。

そして今、その別れ方は多様化しています。


以前の別れというと、病や事故等による死亡が多くを締めておりました。別れとは突然、そうでなくとも急速にやってくるものでした。残された者に、準備をする時間など与えてくれなかったのです。


しかし現在では医療技術の進歩により寿命が延伸、些細な病で命を落とすことは稀となりました。余命の診断も正確性を増していっています。

別れは、ゆっくりと訪れるものになりつつあります。


端的に言えば、別れに備えて準備することが出来るようになった、と言うことです。


にも関わらず、後悔される方が大勢いらっしゃいます。


「もっとああしたら、できたなら。」

「こうしておけば良かった。」


非情な事実ですが、大切な人が亡くなられた後、いくら後悔をしても、その方が戻って来ることはありません。


いない人に対してしてあげられることは、誠意のある供養と、その人の分まであなたが幸せに生きるという事くらいです。


ですので今、立ち止まってしっかり考えて頂きたいのです。



やり残したことはありませんか。

伝えられずにいる言葉がありませんか。

諦めてしまっていることはありませんか。



胸に手を当てて、よく問いて頂きたいのです。


それらは必ず、その胸に残る後悔として、あなたを苦しめるでしょう。



もしかしたらそれは、どれ程の取り組みをしてもゼロには出来ないのかも知れません。そういうものであるのかも知れません。


でも、やらないよりはやった方がいい。

違いますでしょうか。



先にも触れたとおり、別れは多様化しております。

認知症の進行により、あなたを誰か認識出来なくなる。

そんな一方的な別れを迎えることもあるのが、現在です。


そんな時、あなたの後悔が少しでも少ないように。そんな選択をして頂ければと思います。


それは何も介護に限った話ではありません。


地域の高齢者、親戚、家族、そして友人。それはあなたの接する全ての人に言えるかも知れません。


それは、あなたの人生を豊かなものにしてくれるかも知れません。



この作品がそんなきっかけに、ほんの少しでもなれたなら。


それ以上のことはありません。




ゆあん




(アカネとエルの異世界での生活は、まだまだ続く予定です。第三部として連載を再開するまで、少々休載期間を頂きます。再開は続きとして更新しますので、アカネとエルに会いに来てくださる方は、フォローを維持して頂ければありがたく思います)

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