下半期は絶不調

 10月。

 職場について考えた。

 今年はマスク緩和が認められて、コロナ前まで持ち直したとは言えないがだいぶお客さんが戻ってきた。それはありがたいことなのだが、規制の反動もあってかルールを守らないお客さんが非常に目立った。観光施設なので遊具などもあるのだが、あれやこれやと壊された。

 きつく当たってくるお客さんの率も上がり、精神的にかなりつらくなっていた。


 シーズンに入ってから体調を崩す日が明らかに多くなったし、内科でも胃腸炎の診断を受けている。心療内科ではストレス過多という指摘も受けた。


 そこで職場と相談した。人数ギリギリで回していることもあり、退職は待ってくれ――と言われ来シーズンの出勤日数を大幅に減らすことで話がまとまった。経済事情はさらに苦しくなるが、最初の職場でも無理をして倒れている。また同じになるのは勘弁だ。


 そんな流れで10月が進み、まず上旬に文藝賞の一次落ちを食らった。20日にはファンタジア大賞の一次発表。過去作を直して出していたが、こちらも一次落ち。無念である。


 10月は鮎川哲也賞の締め切り月でもある。

 ここで引っ張り出したのが、2022年のメフィスト賞に出した「グレイヴ・ホワイダニット」という作品だ。


 これは本来「墓石亭の殺人」というタイトルで、21年の鮎川哲也賞に応募しようと思っていた作品だった。

 だが、このエッセイに書いた通り、その年の締め切り前になって父親が自殺するという大事件が発生したため出すことができなかった。

 だから、本来応募するつもりだった鮎川哲也賞にこの作品で挑戦したいという気持ちがあった。


 メフィスト賞に応募した段階では思いつかなかった追加の謎解きも閃いた。これで100%の状態になるのでは。


 改稿はすんなり進み、無事に応募が完了――した翌日の11月1日。論創ミステリ大賞の発表があってこれも落選していた。


 11月が進むと、8月にノベルアップで開催されたテーマ別長編コンテストの発表があってこれまた落選。

 間を置かずにマガジン原作大賞でも落選を叩きつけられる。こんな具合で上半期の流れが完全に消え去っていた。


 とはいえ黙って結果だけ見ていたわけではなく、新作も書いた。

 22年末に書きかけて中断していた異世界ファンタジーだ。これはGA文庫大賞で最終選考に残った作品から分裂したもので、どちらも追放されるところからスタートしてその後はまったく違う展開をたどるようになっていた。


 が、他の作品を優先してばかりで追放ものの片割れを長いこと放置していた。それをようやく完成させたのだ。


 これに加え、やはり22年に書いた麻雀ラブコメも合わせ、二本を11月末締め切りのGA文庫大賞に送り込んだ。


 そのまま12月1日を迎え――小学館ライトノベル大賞でやっぱり一次落ちを食らう。なぜガガガだけここまで通らないのか。出ている本を見ても、応募作とそこまで乖離があるようには思えないのだが……。


 ガガガに出したのは連作ミステリで、一次落ちならMF文庫Jライトノベル新人賞の三期(年末締め切り)に回そうと思っていた。

 読み返してすぐ出すつもりだったが、主人公と探偵のそばにいる友人二人がストーリーにほぼ絡んでいないことに気づいた。主役二人は、一話限りの人物とばかり謎解きに興じている。これはよくない。


 そこで全5話のうち一番ミステリとして弱いと思った4話目を丸々差し替えることにした。友人二人も一緒に事件に巻き込まれるようにして、四人で謎解きをする。これで仲を深める描写を入れたらかなりの手応えがあった。


 ひとまずは12月下旬にある鮎川の一次結果を見てから出そうと思ったらその鮎川も一次で落ちてしまった。


 下半期は壊滅状態。嘘だ、信じられない、こんなひどい時があっただろうか(※ありました)。


 そういうわけでMFに応募するのは確定。

 あとは集英社ライトノベル新人賞だ。アイディアIプロローグ部門という序盤20ページまでで参加できる賞がある。

 ノベルアップのコンテストで落ちた作品は、締め切りまでに規定文字数に乗っけるのが精一杯で話をおいしいところまで持っていけなかったのが敗因だ。だがこの賞はそれを気にしなくていい。冒頭や主人公のキャラにはインパクトがあると思ったので、キリのいいところまでで区切って出してみた。


 年末には連作ミステリをMFに出し、2023年の活動は終了。

 春には久しぶりの最終候補も経験したが、その後の失速ぶりが悲惨すぎた。


 とはいえ2024年に向けてのアイディアもすでに用意してある。

 1月1日は一粒万倍日と天赦日と甲子が重なる最強開運日だという話を聞いたので、元日から新作に取りかかろう。

 そう決めて、大晦日の夜は例年よりも早めに寝た僕であった。

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