誰の目を恐れているんだろう

 GA文庫大賞の最終落ちがわかったあと、三つの新人賞に原稿を送った。


 そのあと、ラブコメのネタを思いついた。

 カクヨムでは2019年から年1回ペースでラブコメを連載してきたが、22年は何も書かなかった。

 久しぶりに書こう。

 ということで4月3日から「隣の女子校の有名ギャルと、夜のコインランドリーで密会したい。」の連載を開始した。


 なぜこういうネタになったか。MF文庫から3月に出た『記憶喪失の俺には、三人カノジョがいるらしい』がきっかけだ。


 少し不穏な空気で進むラブコメだが、ヒロインの一人、明日香(表紙のキャラ)のビジュアルがあまりによすぎたのだ。

 金髪ヒロインいいかも――と思い、現代ラブコメで金髪ヒロインならギャルでしょ! などという安直な発想で物語が膨らんでいった。たん旦先生のイラストは偉大である。


 4/10締め切りの電撃大賞は送れそうな原稿がなかったので見送り。

 では他に賞は……と探すと、カクヨムで「賢いヒロイン」中編コンテストなるものが開催されていた。締め切りは4/20。


 中編なら今からでも書けそうだと思って勢いだけで書いた。「ポンコツテイマーの覚醒」がそれだ。サブタイトルは割愛。


 これらはラノベの流行に寄せたタイトルをつけている。他にも同じタイプのストックがあり、いつでも書き始められる状態だ。昔は苦手だったテンプレというものが今は逆に面白い。


 そこで不安になった。

 今までミステリ新人賞中心に投稿し、堅めのタイトルで選考を勝ち上がってきた。

 ここに来て急に説明調の長文タイトルばかり書きまくってお前は一体どうしてしまったんだ――と思われたらどうしよう。


 しばらくそれで悩んでいた。

 だが、なぜ恐れているのか自分でもわからなくなった。


 僕はまだプロでもなんでもない。

 実績のある作家なら路線変更に読者が戸惑うこともあるだろうが、アマチュアはどんなことに挑戦してもいいはずである。


 作家志望者の相互フォロワーさんは不思議に感じるだろうが、まずは自分が書きたいものを優先する。今はそれが一番だろう。


 そもそもGAの最終まで行った作品も追放ものだし長文タイトルだから今さらな話じゃん、というところはあるけれど。


 かくして4月の僕はラノベに時間を使った。

 ラノベもミステリも純文学もなんでも書く。

 自分の「書きたい!」に素直になる。


 そんな、ジャンルについて考えることになった1ヶ月であった。

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