無職になりました

 ファンタジア大賞への応募が終わって九月になった。


 原稿のことばかり書いているから、こいつ元気じゃんと思われた方もいらっしゃるかと思う。


 しかし実際のところは、書ける日と書けない日の差がとても大きいのだ。


 相変わらず、いったん落ち込んでしまうと何も手につかない。勝手に涙が出てくるのも、なんだか気持ち悪かった。


 応募したあとの脱力感もあってか、一週間は何もできなかった。

 僕はひたすらごろごろして過ごした。


 電話があったのはそんな時だった。


 会社からだ。話し合いがしたいという。


 僕はすぐ会社へ出向いた。みんな知っている顔なのに、視線を向けられるだけで苦しいやら恥ずかしいやらで逃げ出したくなった。


 事務室で、専務から書類を渡された。


 解雇通知だった。


 なんとなく、予想はしていた。もう半年近く休んだままになっていたのだ。しかもこちらの精神状態は依然不安定で、復帰してもいつまた迷惑をかけるか予測もつかなかった。


 僕はこれを受け入れようと思った。


 しかし、専務はこうも言った。


「次の就職にマイナスに働くかもしれないし、君の方から退職願を出したという形にしてもいい」


 なるほど。

 僕は時間をもらって考えた末、後者を選んだ。


 後日、退職願を書いて社長に提出した。


「早く元気になれよ」と言われて送り出された。


 かくして僕は正式に無職になったのである。

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