第13話 ランサー
時系列は前後するかもしれませんが江東区に住んでいた時には父は車を買いたがっていたのですが、車を買っても駐車場がない事と、駐車場の権利争奪が大変だったので、よく同じマンションの人に車を借りたり、或いは運転してもらっていろんなところへ連れて行ってもらうことが割と多くありました。
私の住んでいた805号室の隣、806と804の人は車を持っていなかったので、6階に住んでいる人で私と同い年の子供がいる清水さんという人に良く車を借りていました。
清水さん一家はスポーツマン一家でご主人も奥さんも息子さん達もスポーツ万能でした。私と同い年の子は3歳くらいからスキーを始めて、5歳の時にはもう当たり前にスキーを滑っていました。ご主人が乗っていた車がランサーでした。
私も幼稚園の子供が一通り興味持つものはやはり興味があって電車や鉄道などの乗り物はだいすきで、自動車ガイドブックを父に買って来てもらってはカタログの車を全部覚えていました。その中でもセリカやランサーはスポーツカーとしてスタイリッシュで非常に格好よくみえたんです。
しかも清水さんの車は屋根にスキーが詰めるように改造してあったので余計に格好よかったのでした。
活動的な清水さんご夫婦に子供だけ同乗させてもらって、スキー場なども連れて行っていただいたりしたこともありましたね。
一番多く連れて行ってもらったのは千葉県市川市になる江戸川沿いの河川敷でした。
そこでよく、清水さんところの息子さん2人と私でじゃれ合って遊ばせてもらった記憶は非常に残っています。
また、清水さんから車をお借りして、長野に家族で旅行したこともありました。
車を持ってる清水さんが、電車で旅行して、私たちが車を借り手というのはあまりにご迷惑に過ぎましたが、気のいい人だったので、宿代だしてくれるなら喜んでと、結局清水さん家族とうちの家族で父の会社の保養所で遊んだ記憶があります。
父は四国の人間の癖して、どこで覚えたのか、スキーなどの雪の中のスポーツも普通に嗜んでいました。清水さんはご夫婦ともに高校と大学で雪のスポーツを楽しまれた経験があり国体迄進まれた腕前でした。母は流石に神戸の人間なので、雪のスポーツは苦手で私と一緒にそりに乗って遊んで呉れましたが、清水さんご夫婦と父、それに兄と、私と同い年の清水さんの長男はスキーを滑れていました。私も父に教えてもらってスキーをやろうとしたのですが、骨折して左足の筋力が恐ろしく低下していて逆に右足の筋肉がつきすぎていたので、体のバランスが強烈に悪く、スキー板を履いてたっていられないためにそり遊びしかできませんでした。
3歳か4歳だった清水さんちの次男坊もお兄さんほど運動神経が良くなくて、結局私の母と一緒に3人でそりに乗って楽しんでました。
私は自分が兄に勝てないのを知っているし、自分は自分とある程度割り切る事が出来る子供だったので、スキーが出来ないことを悔しいとは思いませんでしたが、清水君の弟さんは、兄が出来て、自分が出来ないことが悔しくて、そりに乗って遊んでいても乗ってる瞬間は動きがあって楽しいのですが、終わってまたそりを持って上に上がるときに、改めて自分が滑れないことが悔しくてウワンウワン泣いていました。
お兄さんほどにデビューは早くなかったけど本人が小学生に上がった時にようやくスキーが滑れるようになったようで、年賀状で兄弟でスキーを滑っている写真を送って来て呉れました。
片輪者一代 滝山一揆 @1nuchi9
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。片輪者一代の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
吐き出して、破棄して。/ますく。
★0 エッセイ・ノンフィクション 連載中 3話
しゃべり場!最新/米太郎
★74 エッセイ・ノンフィクション 連載中 503話
Sacrifice新作/大隅 スミヲ
★18 エッセイ・ノンフィクション 完結済 1話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます