終了と終幕

1234567890



この中であなたの好きな数は?



1



どうして?


1番←

なんとなく

法則上遺憾無く



1番がよろしくて?


はい

いいえ←

確か裏庭に…





あらそう、なら最初からそう言えばよろしいのに。








佐川利 洋次郎 (さがわり ようじろう)


彼は変わり者だ。


特に変わっているところといえば巷で人気のこの渋谷区の大手ファミレス店の晴れた賑わいの中で私を前にしてこの砂漠にいるような呆けぶりである。視線が先程から定まっていない。酒でも飲んでいたのだろうか、いやまだ水曜昼の12時だ。あり得るはずはない。


「あなたの好きな数字は?」


「えーっと…2…かな」


「そう、あなたが犯人なの」


「いや、僕は何もしてない」


「それこそが偉大なるあなたの自首よ、捜査協力ありがとう」


私は佐川利なのかそうでないのか、約15分経った今目の前の佐川利のような人物を逮捕した。


かなり長い道のりだった気もすれば、なんだか呆れてしまうくらいに短かった気もする。なんだか価値の無い事件だった。結局殺人事件だったのか、そもそも犯罪だったのか。よくわからない。まあ、いいんじゃないかな。私は私で、君は君で、それ以上でも以下でもなくて誰も傷つかなかったんだから。渋谷の人混みは今日も変わりなく。佐川利は逮捕されても呆けてる。



「嗚呼、日差しがねっとりとして強い。あいすくりーむでも買って食べようかしら」


そしたら太陽系の中心が私になってしまうし、1畳半で生活してる母さんにも申し訳が立たないから。まあ、神様を信じるつもりなんてないけど。



所詮人間だもの、警戒なんて意味無い。


まあるく太った月が本を読みながらニヤニヤしている。








とても、気持ちが悪い。




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